練習中も緊急地震速報が…ソフトB工藤監督 中止「理解していただけると」

[ 2016年4月17日 05:30 ]

<ソ・楽>熊本での地震で試合が中止になり神妙な面持ちの工藤監督

 熊本、大分両県に被害をもたらした地震のため、ソフトバンクは16日、交通機関への影響と観客の安全確保を考慮し、楽天戦(ヤフオクドーム)の中止を決定した。17日の同カードも当日の午前8時に開催するかどうかの判断を下す。地震の影響でプロ野球が中止になるのは2度目で、ヤフオクドームの公式戦中止は07年以来9年ぶり。この日は各球場で、犠牲者へ黙とうがささげられた。

 ソフトバンクは午前9時半に楽天戦の中止を決定。交通機関への影響とファンの安全確保を最優先するための決断だった。ヤフオクドームでの公式戦が中止となるのは、台風5号の影響を受けた07年8月2日のソフトバンク―オリックス以来、9年ぶり。工藤監督は「楽しみにしてくれたファンは多いと思う。申し訳ない気持ちもあるけど、現状を見た上で判断してもらえば理解していただけると思います」と理解を求めた。

 前夜、福岡市内は午前1時25分に始まり同1時46分、同3時56分、同4時15分と計4度も緊急地震速報が鳴るなど、眠れない選手も多かった。中止決定後、全体練習を行っていた午前11時29分にも、報道陣の携帯電話から一斉に緊急地震速報が鳴り響いた。震源地は熊本で耐震構造の本拠は体に感じる揺れはなかったが、アラーム音に選手は表情をゆがめた。

 被害は熊本だけでなく、近隣の県にも及んでいる。16日未明の地震で震度6弱が観測された大分県大分市に実家がある内川は「連絡は取り合っています。大変だったらしいけれど、家で被害があったとは聞いてません」と話し、大分市に隣接する別府市に自宅がある今宮は「テレビが落ちて壊れたみたいです」と不安そうに話した。

 17日の試合は当日の午前8時に開催可否が判断される。先発予定の武田は宮崎県出身で、宮崎市内の実家は海岸線に近いこともあり「2時間くらしか眠れなかった」と憔悴(しょうすい)し切った様子。それでもやるべきことは一つ。「何ができるかは分からないけど、勝つしかないです」と気持ちを入れ直した。

 時間の経過とともに被害の大きさは拡大の一途をたどった。「本当に信じられない。物が壊れれば修復することはできるかもしれないけど、人命は凄く大事だと思う。安否確認、救出作業も早く進んでほしい」と工藤監督。野球に集中できる状況ではないが「野球をやるしかない。野球を通し、力になるしかない」と自分自身へ言い聞かせるようにつぶやいた。 (福浦 健太郎)

 ▽プロ野球の地震による中止 08年6月14日にKスタ宮城(現コボスタ)の楽天―巨人戦が、直前の岩手・宮城内陸地震で中止となって以来2度目のこと。また、11年には3月11日に東日本大震災が発生し、両リーグの開幕日が同25日から4月12日へと延期されている。なお、地震による試合中断は過去に7度、ドーム球場の試合中止は今回で26度目(ポストシーズンも含む)になる。

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