広島 元ドラ1新人広報マン奮闘中「選手を守りつつ、いかに売り出すか」

[ 2016年4月13日 19:03 ]

 新井貴浩内野手(39)の2000安打が秒読み段階に入り、黒田博樹投手(41)の日米通算200勝も間近に控える広島で、新米広報マンが奮闘中だ。河内貴哉氏(34)――。大記録を前に、球団には相当数の取材申請が届いている模様だが、選手との距離感の近さを背景に手際よい対応が目立つ。河内広報は屈託なく笑う。

 「すべてが初めてのことだから、ボクの中ではこれが普通。でも、2人の大記録が懸かっているので、申請の数は確かにスゴいらしいです」

 いまさら説明するまでもない。3球団が競合した99年ドラフトで1位入団した左腕。翌00年5月3日、プロ初登板初先発となったヤクルト戦(旧広島市民)での投球は、今でも脳裏に浮かんで消えない。5回を6安打2失点。150キロ近い直球をズバズバ決め、うれしくなった記憶がある。

 育ちだろう。すこぶる付きの好人物。ただ、プロ野球人としては大成したと言い難い。自身も認めるように、現役時代は第三者の助言を聞こうとする余りにフォームを見失った。左肩関節唇の再建手術を受けるなど、大きな故障も経験した。それでも常に健気(けなげ)だった。挫折は時に人間を磨く。彼の誇るべき財産だ。

 「思い描いたようにはいかなかったけど、いい人生経験でした」

 昨秋、16年間の現役生活にピリオドを打った。第2の人生。国学院久我山高の先輩を通じ、某新聞社からの誘いもあったようだが、球団からのオファーを二つ返事で受けた。「球団にお世話になろうと考えていたし、どんな仕事でもやろうと思っていた。チームに携われるのがうれしいです」

 命じられたのが広報担当。同じ元投手の小松剛広報が2年前から活躍しており、「いろいろ教えてもらい、助けてもらっています」。選手やチーム、球団をいかにPRするか。カープを取り上げてくれるメディアに感謝しつつ、間を取り持つ広報マンとして独自色を出そうと模索する。

 「選手時代の経験上、このタイミングで(取材が)来たらイヤだな…と思う時は、気を使うようにしています。選手を守りつつ、いかに売り出すか。さじ加減が難しい。自分なりに工夫しながら色を出していけたら…。日々、勉強です」

 最後に大記録が目前に迫る新井に、河内広報の切り盛りぶりについて尋ねてみた。「ダメ。使えない!」。この距離感。愛すべきいじられキャラの、第2の人生は始まったばかりだ。(江尾 卓也)

 

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2016年4月13日のニュース