おぐまです!中日・小熊 8年目プロ初完投が1安打完封「出来過ぎ」

[ 2016年4月7日 05:30 ]

<中・D>1安打完封勝利の小熊はお立ち台で声援に応える

セ・リーグ 中日3―0DeNA

(4月6日 ナゴヤD)
 「こぐま」ではなく、「おぐま」と読む。9回2死。最後の打者・山下幸を左飛に仕留めると、中日・小熊は何度も右拳を力強く握った。93球の省エネ投球で、プロ初の完投が完封勝利。被安打はわずか「1」だった。

 「いやあ、出来過ぎだと思います。後先考えず、一イニング、一イニングいくだけだった。(1安打完封は)たまたまです。信じられない」

 初回、1死から山下幸に四球。4回1死ではロペスに左越えの二塁打を浴びたが、許した走者はその2人だけ。シュート、切れ味のあるスライダーで打者の内外角を巧みに突いた。「うまく両サイドに投げ分けられた。向こうの早打ちも分かった」。最も球数が多かったのは6回の13球で、4イニングが1桁投球。9回はわずか7球で締めた。

 今春キャンプは1軍スタート。しかし実戦で結果を残せず、開幕ローテーション入りを逃した。この日も感情を表に出さずポーカーフェースで投げ続けたが、胸の内には「いつかはチャンスが来る」との熱い思いを秘めてきた。尊敬するのはチームの先輩で、同じく打たせて取るスタイルの吉見。過去には沖縄合同自主トレに参加したこともある。「僕は三振を取るタイプじゃない」。奪三振は5。それでも吉見ばりの低めへの制球力で内野ゴロは13を数えた。

 試合後。小熊の快投について聞かれた谷繁監督は、「この顔を見てもらえれば分かると思います」と破顔一笑した。球団での「1安打完封」は、06年6月6日ロッテ戦(ナゴヤドーム)での川上憲伸以来10年ぶり。指揮官は「期待以上かなあ。本当にナイスピッチング」と絶賛した。

 08年のドラフト6位で入団。当時は落合博満GMが監督を務めていた。小熊は潜在能力を高く評価され、隠し玉として指名を受けた「落合チルドレン」だ。前日は21歳の若松が7回無失点と好投し、2試合連続無失点勝利。世代交代がテーマの中で若い力が台頭してきた。「これを自信にしていってほしい」と谷繁監督。チームは3連勝で貯金を1とした。早くも今季2勝目を手にした25歳。頼もしい右腕がローテーションに加わった。

 ≪小熊 凌祐(おぐま・りょうすけ)≫

 ☆生まれ 1990年(平2)8月11日、滋賀県生まれの25歳。

 ☆サイズ&投打 1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

 ☆今季年俸 推定1200万円。

 ☆球歴 近江では夏の甲子園に2度出場。2年時は2回戦の今治西戦に2番手登板も0―1で敗戦。3年時は1回戦で智弁学園に敗れる。08年ドラフト6位で中日入り。

 ☆幸運な初勝利 3年目、11年5月20日西武戦(西武ドーム)でプロ初勝利。0―4の8回に1回1失点も味方が6点奪って逆転した。「僕の力ではない。野手の皆さんがくれたもの」と恐縮。

 ☆タイトル 12年にウエスタン・リーグで最多の16セーブ。

 ☆減量 14年から脂分抜きの食生活で体重8キロ減に成功。昨年8月26日DeNA戦(横浜)での先発初勝利につなげた。

 ☆名鑑マニア 各選手の出身高やプロフィルはほぼ頭に入っている。

 ≪球団では川上以来10年ぶり≫小熊(中)がプロ初完投を1安打完封勝利で飾った。中日投手の1安打完封は06年6月6日ロッテ戦で川上がマークして以来10年ぶり。また、チームでプロ初完投の試合に1安打以下の完封勝利は87年8月9日巨人戦で近藤が初登板ノーヒットノーランを達成したのに次ぎ29年ぶり2人目になる(外国人投手は除く)。なお、この日の投球数は93球。9回以上の試合で93球以下の完封勝利は13年6月13日阪神戦の木佐貫(日=91球)以来。中日では03年9月30日広島戦で平井が91球で記録して以来の省エネ完封になった。

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