都昭和が早実撃破できたワケ 何があっても“これでいいのだ”奏功

[ 2016年4月6日 22:11 ]

<都昭和・早実>勝利にわく都昭和ナインを見ながらベンチを後にする清宮(後方中央)

春季高校野球東京都大会2回戦 都昭和6─2早実

(4月6日 八王子市民)
 都昭和が逆転で早実を下し、3回戦進出を果たした。

 昨夏西東京大会8強入りした都立の強豪校。早実の和泉実監督は06年夏、11年夏とそれぞれ1点差で競り勝ったことを踏まえ、事前にナインに「しつこい野球をしてくる」と話すなど警戒を強めていた。

 都昭和は組み合わせ決定後、早実との対戦をにらんで練習してきた成果を発揮した。

 まずは森勇二監督発案の「バカボンのパパ作戦」。ホワイトボードに「“~のに…”を“~のだ!”に変える。何が起きても動じない」と書き込んで鼓舞。これまで幾多の投手が「WASEDA」のユニホームと清宮のスイングの鋭さに圧倒され、浮いた球を痛打されてきた。しかし、作戦に乗った都昭和ナインは違った。捕手・冨樫は言う。「清宮選手は内角も強いし、カーブも打ってくる。(左腕の)田舎(いなか)はコントロールがいいから、外で勝負するしかない。四球になったら仕方ない」。これでいいのだ、と言わんばかりに割り切って外攻めに徹した。

 引っ張る傾向が強い清宮に対し、守備もこの外角攻めに対応して打たせて取る意識を徹底。三遊間を狭め、外野は深く守る「清宮シフト」を敷いた。時には左打ちの田舎が自らノッカーを務めて守備練習を繰り返したという。結果的にヒットは打たれたが、本塁打は阻止。清宮だけでなく早実打線全体を翻弄し、計3併殺と粘りに粘った。同点の7回で1発出れば勝ち越される場面で清宮を迎えても、正確に外角低めへ直球を投げ込み、打ち気を誘って二ゴロ。そして8回に小谷の決勝満塁弾を呼び込んだ。冨樫は「打たせる練習して来ましたから」と胸を張った。

 「速いボールはいらないんですよ」と指揮官。田舎の最速は115から120キロほど。1メートル65、58キロと小柄だが、制球力があれば、怪物にも十分対峙できることを示してみせた。

 清宮も「斎藤さんの時に苦戦したと聞いていた。思うようにやられてしまった。僕らは秋も2回戦で負けて、壁を乗り越えようと話していたけど、まだ2回戦負けのチームということです」と悔しそうに振り返った。

 早実を沈めた都昭和は8日に東海大菅生と対戦。どんな戦いをするか、注目だ。

続きを表示

2016年4月6日のニュース