高山また4安打 鬼門知らない男がこじ開けた

[ 2016年4月6日 06:10 ]

<巨・神>4安打と活躍した高山は、レフトスタンドのファンに帽子を掲げて声援に応える

セ・リーグ 阪神8-2巨人

(4月5日 東京D)
 9回1死無走者。阪神・高山の打球は二遊間深くへ転がる。遊撃手・坂本が捕球するも送球できず、この日4度目のHランプが灯った。3月31日のヤクルト戦(神宮)以来となる1試合4安打。殊勲の活躍に、一塁上で少しだけ表情を崩した。

 「(4安打は)本当に嬉しいです。思い切って振っていった結果が安打になって良かった」

 巨人戦の新人4安打は98年の坪井以来。さらに新人がシーズンで2度、1試合4安打を記録するのは球団史上初の快挙だ。その布石は、先発・ポレダに追い込まれてから6球目の149キロ直球を逆らわずに左前打した第1打席。新人野手として02年5月10日の浅井良以来となる巨人戦初出場初打席での初安打で勢いに乗った。2打席目に右前打し、6回の第3打席は2死二、三塁で右中間を破る2点適時打。宿敵打倒の主役を演じた。

 ルーキーだからこそ、「知らないこと」が強みになる。前日4日には「巨人だからどうこう意識するという余裕が自分自身にない」と無心を強調し、初めての巨人戦、初対戦のポレダも気に留めなかった。「相手どうこうではない」―。3月6日の巨人とのオープン戦(甲子園)で内海、山口からそれぞれ安打を奪った試合後、その真意を明かした。「内海さんだから、山口さんだからとか、特別意識する必要もない。だって、1年目だし何も知らないじゃないですか。相手も同じで、僕のことを知らない。変なイメージもない。だから『知らないこと』が、自分にとっては強みなんです」。昨季5勝を献上した天敵・ポレダ。昨季2勝11敗と負け越した鬼門・東京ドーム。やるべきことはデータを意識することでなく、自身の打撃を貫くことと分かっている。

 試合後には「こういう打ち方をした次の日の入り方が大事」と次戦を見据えつつ、「明日も絶対勝ちます!」とスタンドの虎党へ高らかに勝利を宣言した。伝統の一戦に吹き込んだ新風。開幕10試合連続フル出場の疲労感さえも心地良い、格別な夜になった。(久林 幸平)

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2016年4月6日のニュース