ヤクルト困惑 東京五輪で神宮半年使えない!?組織委が要請

[ 2016年4月6日 05:30 ]

神宮球場

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、メインスタジアムの新国立競技場に隣接する神宮球場について、大会前後の使用中止を要望していることが5日、分かった。球場を所有する宗教法人明治神宮への要請が行われたのは3月下旬。中止期間は20年5月からの半年間とされる。使用中止となれば本拠を置くヤクルトや大学、高校野球などに多大な影響が及ぶことは必至だ。

 組織委関係者は「周辺は通行止めなどのセキュリティー対策が不可欠。機材置き場の確保も必要になる」と要請に至った理由を説明。今後について「五輪で使用させてもらえた場合の補償費負担など、これから本格的な調整を始める」とした。

 しかし、その調整は極めて難航するとみられる。ヤクルトの衣笠剛球団社長兼オーナー代行は、「(組織委から)電話一本、文章一本も何ら接触はない」と困惑を隠せない。5月から半年となれば、ヤクルトが神宮で公式戦を開催できるのは開幕から1カ月程度で、クライマックスシリーズもできない。同社長は「あれだけの広告を出していただいているし、年間シートも何千人と買っていただいている。そう簡単に、よその球場でというのはありえない」と、影響の大きさを訴えた。

 東京五輪の開会式は7月24日。仮に野球競技が復活すれば、大会前後にプロ野球のシーズンが中断される可能性はある。しかし、今回の中止要請は2カ月以上も前の5月からとあって、「使用禁止の期間が長すぎる」と指摘する関係者もいる。

 野球界に降りかかった、五輪に絡む「2020年問題」。神宮側はヤクルト球団、アマ球界などから意見を集約して返答するとみられるが、先行きは不透明だ。

 ▼ヤクルト・川端選手会長 使えないと言われたらどうしようもない。嫌だとも言えない。その期間だけ違うところでするようになるんですかね。秋のキャンプの(愛媛県)松山とかをホームにしてやらないと仕方ない。

 ▼日本野球機構・井原敦事務局長 正式に話はきていないし、まずは球団で考えていただくこと。ただ、5月から使えないとするなら、シーズンも(中断するとしても)7月くらいまではやるでしょうから、その間の本拠地をどうするか。

 ◆明治神宮野球場 1926年(大15)10月22日に完成し、今年で創建90周年。同年10月24日の東京六大学野球リーグ、明大―法大戦で初めて試合が開催された。太平洋戦争後の45年からGHQに接収される(52年に接収解除)。64年からヤクルト(当時国鉄)の本拠に。両翼97.5メートル、中堅120メートル。収容人員3万1941人。住所は東京都新宿区霞ケ丘町3の1。

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