西口文也氏 異国でコーチ修業の日々 再びユニホームを着る日へ

[ 2016年4月5日 07:48 ]

今年2月、西武南郷キャンプで打撃投手を務める西口文也氏

 異国の地でも、その飄々(ひょうひょう)とした雰囲気は変わらなかった。台湾・台南市。日本よりも、やはり暖かく感じた。昨季限りで西武一筋21年間の現役生活を終えたレジェンドは「楽しいですよ」と笑顔で言った。西口文也氏。現在の肩書きは球団編成部員、そして台湾プロ野球・統一ライオンズの臨時コーチでもある。

 西口氏は3月7日に海を渡った。それまでは12球団の春季キャンプの視察に加え、同3日まで沖縄で韓国・ハンファの臨時コーチを務めていた。帰京し、自宅に滞在していたのはわずか3日間ほど。今度は沖縄を飛び越え、国境をも越えて台湾に向かった。16年のシーズンは日本より一足早く、3月20日に開幕。開幕戦は兄弟に11―0で完封勝ちした。統一は本拠地球場の照明設備が工事中のためナイターが行えず、当分は敵地での試合が続くという。

 統一の指揮官は、85~97年に西武で活躍した「オリエント・エクスプレス」こと郭泰源監督。開幕日に54歳の誕生日を迎えた。西口氏が台湾に到着した当初は、西武の渡辺久信シニアディレクターも現地にいた。オープン戦の試合後などには、食事をするためにそろって台湾名物の「夜市」にも足を運んだ。他のコーチの車に乗せてもらって球場に向かう時間は、コミュニケーションの場にもなっている。背番号は「85」。統一の球団公式ホームページには「客座投手教練」と記されている。

 ライオンズ一筋の野球人生。これまで日本国内ではもちろん、他球団を内側から見ることはなかった。そんな西口氏はすでに韓国、そして台湾の野球を直接、肌で感じながら学んでいる。これ以上ない貴重な経験だろう。近い将来、ユニホームを再び着る機会は必ずあるはず。大勢のファンも待ち望んでいる。台湾でのコーチ修業は今月下旬まで。その後は米国や、オーストラリアのウインター・リーグ視察のプランもあるという。

 記者が台南市を訪れた日は、たまたま試合の予定がなかった。天気は雨模様。そこで会った西口氏は、現役時代と変わらぬ笑顔だった。異国にいても、肩に余分な力が入っていなかった。ただ、そのユニホーム姿を実際に見られなかったことだけが、ちょっぴり残念だった。(鈴木 勝巳)

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2016年4月5日のニュース