田淵幸一氏が語るコリジョンルールの課題 “意図しない衝突”どうジャッジするか

[ 2016年4月5日 09:40 ]

3月26日の巨人対ヤクルト2回戦、2回無死二、三塁でタッチアップした三走のヤクルト・畠山は本塁憤死する。捕手は巨人・小林誠

 今季から導入された本塁上の衝突防止ルール「コリジョンルール」。ここまでセ、パ計51試合を消化したが、「ルール」が適用されて判定が覆った事例はない。春季キャンプ、オープン戦を通じ、審判員、球団での意思統一を図った一定の成果が出ているとの見方もできるが、スポニチ本紙評論家の田淵幸一氏(69)が今後の課題を語った。

 本塁上のクロスプレー。スリリングな面白さがなくなる、との声もあるかもしれない。しかし捕手の立場から言えば特に外国人選手は実際に体当たりをしてくる。選手寿命に関わるような故障は防ぐべきだと考える。

 ただ、判断基準は非常に難しい。私が阪神での現役時代、外野からの返球がそれ、三本間のライン上で捕球したことがある。そこに走者の大洋・松岡選手が走ってきて、激突。2人とも脳振とうを起こして担架で運ばれた。ボールは放さずアウトだったが、意図したコリジョン(衝突)ではなかった。今後こういうケースが出た場合にどうジャッジするのか。

 今回の改正で、有利なのは走者だろう。一方の捕手にとって、本塁を死守するのは、いわば本能。慣れないうちは、とっさに足が出てしまうこともあると思う。大切なのは、タッチの方法などの基本。3月30日のDeNA―巨人戦では、巨人・小林誠が走者のDeNA・ロペスを手(ミット)で追い掛けてしまい、タッチをかいくぐられた。鉄則は、追い掛けず本塁ベース上で待つことだ。

 現段階で「これが答え」というものはない。1年間を試行期間にして選手や審判、ファンの声を聞き、変えるべきところは変えればいいと思う。 (スポニチ本紙評論家)

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