松井氏 賭博で1年失格の高木京と会っていた「これからのことを話した」

[ 2016年4月3日 05:30 ]

2014年2月6日、巨人の宮崎キャンプで高木京を見守る松井氏(左)

 元巨人の松井秀喜氏(41=ヤンキースGM特別アドバイザー)が、野球賭博問題への「怒り」を口にした。2日、東京都内でBSジャパンの「日経 FT サタデー9」に生出演。「駄目なものは駄目」と、野球賭博について初めて言及した。星稜(石川)の後輩で、巨人に契約を解除された高木京介元投手(26)についてもコメント。番組出演後は、高木京元投手と直接会って話したことも明かした。

 神妙な表情を浮かべ松井氏は率直な思いを語った。番組終盤、司会者から野球賭博問題について水を向けられた時だ。

 「同じ郷土の、同じ高校の後輩である高木選手がその一人であったのは非常に私としても野球ファンの皆さまに申し訳ないという気持ちがある」

 生放送で謝罪。さらに野球賭博全般についてこう続けた。「駄目なものは駄目ですから。八百長につながる恐れがあるという意味で絶対駄目。12球団の選手全員がそういう意識を持つしかない」。69~71年に西鉄(現西武)の投手の八百長が発覚したのに端を発した「黒い霧事件」にも触れ「現在までの中で意識が少しずつ薄れてきてしまったのかもしれない」と言い、巨人OB、球界OBとして根絶を求めた。

 番組終了後に取材に応じた松井氏は巨人で4人の契約解除処分が出たこの問題に「残念な気持ちと何でそうなったのかなという気持ち。怒るというか、そういう気持ちもあったのは事実」と告白。高木京元投手と直接会ったことも明かした。同じ石川県能美市出身で打撃も得意だった15歳下の左腕が小学生だった時、故郷での年末年始のイベントで対面。豪快な打撃を見て「ぜひ星稜に来てくれよ」と冗談交じりに誘い、後輩になった。

 「僕が会いたかった。いろいろ話しておきたいなと思って」。2~3週間前に東京都内で約1時間、一対一で顔を突き合わせた。言葉少なで落ち込んでいた15歳下の後輩に対して「本当は怒りたい気持ちだったが、これからのことを話した」。反省して、処分を受け止めた上で再出発するよう語りかけたという。

 再発防止への具体策を問われると「今の自分の立場では出てこない」と話すにとどめた。一方、個々の選手の意識については「何も難しいことではない。駄目なものは駄目ということを、選手にどう植え付けさせるか」と声のトーンを強めた。

 巨人時代は誰よりもファンを大切にしてきた長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)に師事し、見習ってきた。最も危惧しているのはファン、特に子供への影響だ。

 「こういうことがあると、ファンの方はそっぽを向く。子供たちが憧れる世界。プロ野球選手になりたいという気持ちを壊してしまう。それが一番、罪なことだと思いますよ」

 松井氏は3日、自宅のある米ニューヨークに戻るため日本を離れる。再発防止を心から願い、重い言葉の数々を残した。 (大林 幹雄)

 ≪1年間の失格処分≫高木京は3月8日に野球賭博への関与を認めた。昨年11月の福田、笠原、松本竜に続く4人目となり、渡辺恒雄球団最高顧問、白石興二郎オーナー、桃井恒和球団会長が引責辞任。高木京は翌9日に東京・大手町の球団事務所で記者会見し涙ながらに謝罪した。3選手は無期失格処分だったが、高木京は1年間の失格処分に。裁定した熊崎勝彦コミッショナーは「程度、期間、(野球賭博と)関わった後の対応を客観的に見て3選手との間に相当な差異が認められる」と説明した。

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2016年4月3日のニュース