陽岱鋼プロ11年目で初サヨナラ打「自分が中心だと違う感覚」

[ 2016年4月2日 08:18 ]

<日・ソ>9回2死一、二塁 右越えにサヨナラ二塁打を放った陽は中田の手荒い祝福にキックでお返し

パ・リーグ 日本ハム4-3ソフトバンク

(4月1日 静岡)
 「抜けろーっ!」。静岡の夜空に向かって叫んだ。日本ハム・陽岱鋼(ヨウダイカン)の思いはボールに伝わった。同点の9回2死一、二塁。リードオフマンは森から右中間を破るサヨナラ二塁打を放った。

 「ハッピーでーす。サンキューでーす!」。球団初の主催試合を行った草薙球場の2万1656人が、劇的勝利に酔いしれた。プロ11年目の陽岱鋼にとって意外にもこれが初のサヨナラ打。二塁ベース付近ではベンチを飛び出したナインの手荒い祝福を受けた。「僕に後輩の手が飛んできた」。そう笑ったヒーローは「サヨナラ勝ちは何度もあるけど、自分が中心だと違う感覚」と初体験をしみじみ振り返った。

 読みがズバリ当たった。2死二塁で前打者の中島に対し、森はボールを4つ続けて敬遠気味の四球。塁を埋める作戦とはいえ、自らとの勝負を選択されたことに陽岱鋼は燃えた。初球はカーブ。緩い球がボールとなり「ボールが続いていたのでストレート(系)が来ると思った」。高めのカットボールを仕留めた。

 初回、中田の1号3ランで幕を開け、大谷も粘った。中盤までリードを奪いながら、守護神・増井の暴投などで8回に2点差を追いつかれた。それでも劇的な幕切れ。パ・リーグでは94年西武―日本ハム戦以来22年ぶりの静岡開催。だが、相手主催の2連戦で日本ハムは連敗しており、白星は91年の近鉄戦以来25年ぶりだ。栗山監督も「(陽岱鋼は)初のサヨナラ打でしょ。ビックリだよね」と驚き交じりに称えた。

 帰り際、陽岱鋼は思い出したように言った。「中田が僕の脇腹を殴った。強烈だった」。そんな痛みさえ、うれしい。チームにとっても今季初のサヨナラ勝ち。大谷や中田から静岡の夜の主役を奪った陽岱鋼は、意気揚々とバスに乗り込んだ。(君島 圭介)

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2016年4月2日のニュース