大谷 打者開幕弾 自己最速1号3ラン、いきなり自己新5打点

[ 2016年3月30日 05:30 ]

<日・オ>5回無死一、二塁、左中間に3ランを放つ大谷

パ・リーグ 日本ハム13―3オリックス

(3月29日 札幌D)
 本拠地開幕戦でシーズン最速弾だ。日本ハムの大谷翔平投手(21)が29日、オリックス戦に「6番・DH」で今季野手として初出場し、5回に左翼席へ今季1号となる3ランを放った。シーズン野手初出場での本塁打はプロ4年目で初めてで、最速の3打席目で記録。ダメ押しの一発に加え、自己最多の5打点も記録した。25日の開幕戦では敗戦投手となったが、野手として2連勝に貢献。二刀流の真価をいきなり発揮した。

 左翼スタンド最深部に、勢いよく着弾した。本拠地の札幌ドームに集まった4万1138人の大歓声が、はじけるように沸いた。大谷の3打席目でのシーズン1号3ラン。昨季の6打席目を上回る自己最速弾となった。

 「1本出るまでは緊張した。本塁打が出てうれしかったし、良かった」。5回の第3打席。高めのつり球を見極め、低めのスライダーにはファウルで食らいついた。2ボール2ストライク。5球目の甘く入った直球を逃さずフルスイングした。「打者・大谷」としての今季初安打が逆方向への強烈な一発。「左中間が基本の打撃。必ずしも芯だけで打たなくてもしっかり振り切れればいい」と手応え十分だった。

 徹底した内角攻めにも「逆に絞りやすかった。内角はずっと狙っていた」と攻略した。初回1死満塁での今季初打席では、内角直球を力で押し込み中犠飛、6回にも内角直球を左前適時打した。しめて5打点。今季初めて導入された「お立ち台カー」では、OBでインタビュアーの建山義紀氏に「自己最多って知っていましたか?」と聞かれ「知らなかったです」と照れ笑いを浮かべた。

 昨季終了直後。2軍本拠地のある千葉・鎌ケ谷で栗山監督と面談し「命懸けでやっているか?」と問われた。投手で自己最多の15勝と飛躍を遂げた一方で、打者では打率・202、5本塁打、17打点と不本意な結果に終わった。こんなものではない、と信じているからこその重い言葉だった。さらに12月。球団スタッフの結婚披露宴の場で再び栗山監督に呼び止められた。「翔平、こんな(打撃)成績じゃ駄目なんだ。二刀流として(投打)両方からメジャーに呼ばれる選手になれ」。胸に響いた。以来、自主トレの大半を打撃練習に割き、来る日も来る日もマシン相手に振り込んだ。鬼気迫る姿を伝え聞いた指揮官は「本当にあいつ分かりやすいよね」と笑う。「世界一の二刀流」をつくり上げるために、あえて厳しい言葉を浴びせ、ともに歩んでいる。

 2年連続開幕投手を務めた25日ロッテ戦(QVCマリン)。最速160キロも、力投むなしく黒星を喫した。「悔しい思いはあった。何とかバットで取り返したいと思っていた」。二刀流の真価を証明するための「打者・大谷」の2016年が最高の形で幕開けした。 (柳原 直之)

 ≪1勝より先は初≫大谷(日)が5打点の活躍。これまでの1試合最多打点は14年7月5日ロッテ戦の4打点となっており、自己記録を更新した。また、5回には今季初アーチ。打者としてのシーズン1試合目、3打席目での一発は昨季の2試合目、6打席目を抜く最速1号になった。なお、年度別の初本塁打と投手としての初勝利の日付を見ると
 年  初本塁打  初勝利 
13 7月10日 6月1日
14 4月23日 4月12日
15 4月1日  3月27日
16 3月29日 ?  
 と勝利より本塁打を先にマークしたのは今季が初めて。

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