見せてほしいプロ野球の凄さを 25日開幕 今こそ人気回復の取り組みを

[ 2016年3月25日 11:00 ]

第88回選抜高校野球大会で、バックネット裏に新設された「ドリームシート」で試合を観戦する小中学生

 今でこそ目にする機会は少なくなったが、それでもたまに親子がキャッチボールしている姿を見かけると、何だかうれしい。忙しい父が相手をしてくれた少年時代を思い出し、いつもほっこりとした気分にさせてくれる。

 甲子園では今センバツからバックネット裏に「ドリームシート」が設置された。子供たちに“特等席”で高校野球を観戦してもらい、野球振興につなげることが狙い。全日本軟式野球連盟に加盟する小中学生のチームが対象で、全部で118席。しかも無料だ。

 テレビで高校野球中継を見ると、バックネット裏の光景が今までとまったく異なることがすぐに分かる。そろいのユニホームに身を包んだ少年らが、食い入るように選手の一挙手一投足を見つめている。おそらく「騒いだりしないように」という指導を受けているのだろうが、それにしても微動だにしない。あの席から高校野球を見たことは、一生忘れないだろう。高校まで野球を続けて甲子園に出たい、ときっと思うだろう。少子化や野球人気低迷が叫ばれる中、とてもいい企画だと思う。

 だが、ふと思う。次代を担う子供たちを引きつけるのは、本来、野球界の頂点に立つプロ野球選手に求められる役目のはず。04年の球界再編問題後、プロ球界は一丸となってファン獲得に奔走した。選手会はキャッチボール専用球の「ゆうボール」を監修。野球の普及活動に力を注いだ。都市部ではキャッチボール禁止の公園も多いが、昨年9月に亡くなった松原徹事務局長は「このボールを使って男の子も女の子もキャッチボールしてくれたら」と野球人口の底辺拡大を願っていた。現在、暗いニュースが相次いでいるが、当時と同じくらいの熱を持って人気回復に取り組む時期だろう。

 今こそプロ野球選手のすごさを見せつけてほしい。ものすごく速い直球や鋭く曲がる変化球。信じられないぐらい遠くに飛ぶ打球や、測ったように野手の間を抜くバットコントロール。そうしたプロならではの技術で、野球少年たちをもっとワクワクさせてほしい。

 日常にキャッチボールがある世界は、再び訪れるだろうか。それは25日開幕を迎えるプロ野球界の動静に懸かっている。(白鳥 健太郎)

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