「そこに記者席があるから」!?日米間で感じるメディア対応の差

[ 2016年3月17日 09:10 ]

スタンドの最上段に設けられた横浜スタジアムの記者席

 「そこに山があるから(正しくは“そこにエベレストがあるから”だったようですが…)」。有名な英国の登山家ジョージ・マロリー氏の明言。でも、私は登山家ではありません。「そこに記者席があるから」と喜んで階段をのぼる気には、ちょっとなれなかった。

 12日、ロッテ―巨人戦で今年初めて訪れたQVCマリン。これまで本塁後方のグラウンドレベルにあった記者席がなくなっていた。バーがある特別観戦席「サントリー・マスターズドリーム・シート」が設置され、記者席はネット裏のスタンド最上段に移動。3階までのエレベーターもあるものの、5階に相当する記者席までの残り2階分は、当然、階段を上らなけばならなくなった。

 13年にはQVCマリンと同じような特別な観戦席を作るために、横浜スタジアムが記者席を移動した。これもグラウンドレベルからネット裏のスタンド最上段へ。エレベーターはない。まあ、千葉は屋根がせり出しているものの、ほぼ吹きさらし。横浜はボックス型で冷暖房完備の室内施設となっているが、階段が急で毎試合、膝がガクガク…。やはり私は登山家にはなれない。「そこに記者席があるから」と何の疑問もなく、足が前に出ない。安くないお金を払ってチケットを買っているファンの方々の気持ちが分かるのが、せめてもの救い。そう自分に言い聞かせて、気持ちを奮い立たせてのぼり始める。

 過去2年間はメジャー担当だった。地方開催がない点は日本と違うが、各球場の記者席を含むメディア用エリアの施設の日米格差は大きい。米国で観客席の階段をのぼってたどり着く記者席は経験しなかった。通信環境も同様。MLBは毎年、各球場で使用できる共通の無線LANのIDとパスワードをメディアに伝え、編集業務に支障がないようにきめ細やかなサービスを提供している。毎試合、ホーム、ビジター両球団の広報部がつくった「ゲームノート」と呼ばれるデータ、記録などが印刷された冊子を記者席で配布される。球場に行けば一定の敬意を持って迎えられている安心感が自然に芽生える。

 日本では各球場によって通信環境も様々。無線LANを提供している場所もあれば、全くないところも当然ある。文化の違いといえど、どんどんグラウンドから遠ざけられるこの流れには、ちょと寂しさを感じる。我が担当球団、巨人の本拠・東京ドームも記者席がこれまでのネット裏後方から三塁側に移動。新記者席の両側の壁などが障害になった構造上の問題で、グラウンド全体が見渡せない客席が生まれた。いわゆる「見切り席」だ。球団の持ち物ではない球場だが、オープンから28年経っている。いったい何を目的にして考えた移動だったのだろう…。「そこに記者席があるから」。野球が見えない席なんて、ファンも望んでいないと思う。(記者コラム・春川 英樹)

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