「野球とカネ」連鎖 阪神も声出し金銭授受 昨季最大30万円

[ 2016年3月16日 05:30 ]

ウエスタンリーグ、中日との開幕戦で円陣を組む阪神ナイン

 巨人で選手が自チームの勝敗に絡んで金銭授受を行っていたことが判明した問題に絡み、阪神でも公式戦で選手間の金銭のやりとりがあったことが15日、分かった。四藤慶一郎球団社長(55)が明らかにした。14日に巨人が発表したことを受けて調査したところ判明した。西武も選手間で金銭のやりとりがあったことを発表。新たに2球団でも行われていたことが発覚し、問題はさらに拡大する事態となった。セ・リーグは17日に緊急理事会を開き、対応を協議する。

 巨人の金銭授受問題発覚から一夜明け、ライバル球団の阪神でも選手が公式戦で現金のやりとりを行っていた事実が明らかになった。四藤球団社長は「(巨人と)似たようなことがあったのは否定しない。これから(シーズンが)始まるという時期に残念。襟を正していきたい」と話した。

 巨人では投手と野手に分かれて行われる試合前の円陣で「声出し」と言われる発声を担当した選手が、試合に勝った時は他の選手から5000円ずつもらい、負けた時には1000円ずつを支払っていた。阪神のケースは野手のみで、投手は円陣に加わっていない。四藤社長はチームが3連勝した場合に初めて声出しを行った野手が、他の野手から「祝儀」として5000円ずつを受け取っていたと説明した。1軍登録の野手は通例で16人。声出し役は15人から計7万5000円を受け取る計算だ。4連勝以降も5000円ずつを集めており、6連勝が最多だった昨季なら、最大で総額30万円を受け取った野手がいることになる。

 5年前から慣例化され、前日の巨人の発表を受けて調査し、判明した。四藤社長は昨秋に設置された巨人、阪神、オリックス、ソフトバンクが参加した再発防止対策チームでも選手間の金銭のやりとりについては話題に上っていたと明らかにした上で「現在は倫理の欠如につながることはやめている」と述べた。

 また、同社長は昨秋の調査で同じ5年前から試合前の練習中にノックでミスした選手がいた場合、現金やジュースを納めていたことも明らかにした。現金は14年のみ。ミス1回につき500円で、選手の食事会の経費に充てていた。巨人も前日にノックでのミスを対象とした選手間の金銭のやりとりを発表している。

 巨人の野球賭博問題を調査している日本野球機構(NPB)調査委員会の大鶴基成委員長は巨人に続き、阪神と西武でも公式戦の勝敗に絡んだ現金授受が発覚したことに「口頭で聞いた範囲では(巨人と)同じ行為だと思う」と話し、敗退行為などを禁じる野球協約には抵触しないとの認識を示した。ただ、四藤社長は「賭博の芽になる可能性もある。そういう金銭のやりとりは一切やらないと現場サイドにも確認したし、今後もしあれば許されない」とした。

 セ6球団は緊急理事会を17日に開き、再発防止策など対応を協議することを決めた。熊崎勝彦コミッショナーは野球に関する金銭授受を一切禁止する旨のコミッショナー通達を1月29日に発令。今回の金銭授受も巨人選手の賭博問題を引き起こす要因と捉え、「野球協約違反に該当する行為であろうとなかろうと、野球界の健全な発展を願って全てを出し切る覚悟で、固い決意で指揮を執っている」と話した。

 ▼労組・日本プロ野球選手会森忠仁事務局長(金銭授受の)事案を具体的に出して説明しながら、選手の意識を変えていければ。

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2016年3月16日のニュース