オコエ開幕スタメングイッ 梨田監督「持ってる」勝負強さ

[ 2016年3月16日 05:30 ]

<西・楽>9回1死一、二塁、勝ち越しの中前適時打を放つオコエ

オープン戦 楽天8―3西武

(3月15日 西武プリンスドーム)
 今度はV打だ!楽天のドラフト1位ルーキーのオコエ瑠偉外野手(18=関東第一)が15日、西武とのオープン戦に「8番・中堅」でフル出場。2―2の9回1死一、二塁から中前に決勝適時打を放った。紅白戦や練習試合も含めた実戦17試合で打率・214ながらも11打点目で、高卒ルーキーのオープン戦決勝打は16年ぶりだ。急成長を遂げる18歳は開幕1軍どころか、開幕スタメンまで手が届く位置にいる。

 9回。中堅の守備に向かうオコエに右翼席から歓声が降り注いだ。「オコエ!オコエ!」。適時打を放った選手に送られるコール。18歳は帽子を取りファンに頭を下げた。決勝の中前打。進化は止まらない。

 「先輩がつないでくれたチャンスを無駄にできないと思った。流れの中でいい仕事ができた。得点圏で集中できている」

 2―2の9回1死一、二塁で打席が巡った。それまでの3打席は凡退も、4回は右前に抜けそうな当たりを好捕され、7回はライナー性の左飛だった。9回は1ボール1ストライクから西武・藤原の内寄り直球に反応。トップの位置から最短距離でバットが出る理想的なインサイドアウトの軌道で中前に鋭い打球を放った。13日の中日戦(静岡)に続く、2試合連続の適時打。これで実戦17試合で11打点だ。

 どうしても結果を出したかった。西武プリンスドームは東京・東村山市内の実家から距離が近く、幼少期は西武のファンクラブ会員だった。中学時代に所属した東村山リトルシニアでは中学3年の12月に同球場で「卒団試合」も行った。

 オコエは中学2年の3月に大腿骨の成長板が股関節から離れてしまう「大腿骨頭(だいたいこっとう)すべり症」で手術を受け、同3年秋まで半年以上の地道なリハビリを行った。入院時にチームメートから寄せ書きを贈られ、退院後は松葉づえを突きながら球拾いもした。周囲との絆は深まり、当時の仲間は現在も心の支えだ。シニア時代の多くの関係者がスタンドで観戦した試合。最後の打席で快音を響かせた。

 オコエは残り5試合のオープン戦も1軍に同行する見込み。日々、成長する18歳について梨田監督は「勝ちか、引き分けかというところで最後の打席で打点を挙げる。持っている」と評価する。守備、走塁にも一定の評価を与えており、球団史上初の高卒新人野手の開幕1軍の可能性は高い。

 「これからも変わらず勉強です」とオコエ。将来性、話題性も十分。残り試合でもアピールを続ければ、開幕スタメンだって夢物語ではない。(山田 忠範)

 ▼楽天・池山打撃コーチ(オコエについて)最後まで(1軍で)いくと思う。普通の高校生が1年かかるところを1カ月で成長している。残り5試合はチームに必要かどうか見極める期間になる。

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2016年3月16日のニュース