巨人勝敗で金銭授受 投手&野手の円陣「声出し」が主役

[ 2016年3月15日 05:30 ]

円陣を組む巨人ナイン

 巨人と日本野球機構(NPB)は14日、巨人選手が1試合につき約13万円が動く現金のやりとりを行っていたことを明らかにした。試合前の円陣で「声出し」を担当した選手が勝ち試合で金銭を受け取るなどの内容。3選手が無期失格処分を受け、今月8日に高木京介投手(26)の関与も判明した野球賭博問題に続く金銭絡みの実態判明に、高橋由伸監督(40)は沈痛な面持ちで謝罪の言葉を述べた。

 野球賭博の調査にあたる日本野球機構(NPB)の調査委員会の大鶴基成委員長(元検事)、巨人の森田清司総務本部長は、それぞれ取材対応し、巨人選手間で行われていた現金のやりとりを明らかにした。調査委員会の調査で判明し、昨年11月10日の最終報告に「非予想系のもので賭けには当たらないが、試合の勝敗に関して選手間で金銭授受も行われていた」と盛り込まれたが、実例は示されていなかった。

 両者によれば、投手と野手に分かれて行われる試合前の円陣で「声出し」と呼ばれる発声を担当した選手が、試合に勝てばそれぞれ1人から5000円ずつを受け取り、負ければ1000円ずつを支払っていたという。公式戦では1軍登録の計28人の内訳は投手12人、野手16人が通例。投手は5万5000円、野手は7万5000円を受け取ることになる。連勝中は「声出し」の担当は変わらず、毎試合同額を受け取る仕組みだった。

 始まったのはチームが低迷していた12年春頃。森田総務本部長は「縁起のいい声出し役にみんなでご祝儀を出そうとなった」と経緯を明かした。「験担ぎの色合いもあり、賭け事とは全く異質の行為」と強調し、具体的に公表しなかった理由については「敗退行為とは正反対で、NPBでも野球協約177条などには違反しないという結論となり、NPBの公表しないとの判断に従った」と説明。大鶴委員長は「5000円を払うのが嫌だから敗退行為をするプロ野球選手がいるとは考えられない」と話し、少額の金銭が、野球協約で禁じられる八百長などの原因になるとは考えられないとの見解を示した。

 選手は一部を除いて参加。森田総務本部長は「誰が参加し、参加していなかったかは明確ではない」と選手名は言及しなかった。ただし「誤解を招く恐れがある」とし、既に禁止したという。

 横浜市内でファンミーティングに出席した高橋監督は苦悩の色を濃くした。「開幕の前に暗いニュースばかりがうちのチームから出てしまっている。本当に申し訳ないという言葉しかない」。ファンの前に立ってのイベントを振り返って「(ファンの声は)頑張れというものと、しっかりしろというものと両方あると思う。しっかりと受け止めてやらなくちゃいけない」と言葉を続けた。

 開幕まで10日という時期に、グラウンド外の話題で謝罪に及ぶ非常事態。「ユニホームを着ている我々は野球をすること以外ない。そういったところで信頼を回復していくしかないのかなと思っている」と自らに言い聞かせるように話した。

 ▽敗退行為 野球協約で禁じられている行為。第177条(不正行為)で、所属球団の試合において、故意に敗れ、または敗れることを試み、あるいは勝つための最善の努力を怠るなどの行為と規定されている。いわゆる「八百長」につながる行為で、違反者には最も重い永久失格処分が科される。第177条は、所属球団が直接関与する試合について賭けをすることも禁じている。

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2016年3月15日のニュース