アマ復帰した渡辺俊介が明かすプロの世界「高校野球だったら…」

[ 2016年3月14日 08:14 ]

<新日鉄住金かずさマジック・日本新薬>5回、力投する新日鉄住金かずさマジック・渡辺俊

 社会人野球の東京スポニチ大会で、元ロッテの渡辺俊介が古巣の新日鉄住金かずさマジックで活躍する紙面を読んでうれしくなった。

 ロッテを担当していた05年、リーグ優勝、日本一、アジアシリーズ、交流戦制覇と勝ちまくったチームを支えたのは、球界屈指のサブマリンだった。驚く球はなかった。125キロ前後の直球よりも、掲示板の表示は120キロ台後半だったシンカーの方が速かった。

 バックネット裏の記者席から渡辺俊の投球を見ていると、スライダーは鋭く曲がっていた。しかし、90キロ台のカーブは曲がるというよりも、打者が待ってもなかなかホームベース上を通過しないといった印象だった。

 30メートルぐらいの距離だっただろうか。楽天戦を仙台で行うはずだったが、雨天中止となったことがあった。チームは室内で練習となり、渡辺はちょっと長めのキャッチボールを行い、その距離で変化球を投げていた。

 理由を聞いた。渡辺俊は「どんな軌道で曲がっているのかを確かめたかった」と話していた。マウンドのプレートから本塁まで18・44メートル。その倍近くの距離で投球することによって、球の軌道が自分の目でも確認しやすくなるというのだ。

 「高校野球だったら大きく曲がる変化球を投げる投手の方が打者を打ち取れるが、プロは直球のように見えて少しだけ変化する球を投げた方が打ち取れる」

 プロの打者ならば、大きく変化しても球種が分かればバットの芯で捉える。一方で直球だと思ってバットを振ったところで曲がれば、打ち損じも増えるというわけだ。

 最近はプロだけでなくアマチュアの投手もツーシーム、カットボールといった動くボールを多投するようになった。プロ通算87勝、WBCで2度の世界一を経験したサブマリンはアマチュア球界にどんな影響を与えていくのだろうか。コーチを兼任する渡辺俊の話をどこかでまた聞いてみたい。(記者コラム・横市 勇)

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2016年3月14日のニュース