イチロー、清宮…名勝負から生まれる“野球の言葉”に注目

[ 2016年3月12日 09:20 ]

2013年8月、日米通算4000安打を達成し、感想を語るヤンキース・イチロー

 震災から5年。アマチュア野球の現場で「お世話になった方々に、元気にプレーしている姿を見せて恩返ししたい」という選手の思いを多く聞いた。

 ふと、自分の高校時代、お世話になった恩師(野球部監督)のことを思い出した。四球を連発したり、ボコボコに打たれた試合の後に怒られたことはほとんど忘れているが、20年経った今でも、頭から離れない言葉がある。

 「人間は考える葦(あし)である」

 練習の合間やミーティングで何度も聞いた言葉がこれだ。後に知ったが、フランスの哲学者・パスカルが発した一文だった。人間はちっぽけな草と同じだが、考える能力が備わっている生き物という意味だ。

 人の思考回路は十人十色。同じ景色を見ても感じ方は違う。マーリンズのイチローは日米通算4000安打をマークした試合後の会見で言った。「4000安打ということは、僕の場合、8000回は悔しい思いをしている。その悔しさに向き合ってきた。誇れるとしたら、そこですかね」。こんな発想をしているのは、凄いと思った。

 電球の発明に尽力したエジソンは、こんな言葉を残している。「1万回の失敗?私は失敗はしていない。電球をつくることのできない方法を1万通り発見しただけだ」。エジソンが言えば、屁理屈には聞こえない。

 センバツ高校野球が20日に開幕する。ベンチ裏の通路で行われる試合後のインタビュー。昨夏は早実のスーパー1年生・清宮幸太郎が敗戦後、「生まれ変わっても、この先輩方と野球がやりたい」というコメントが印象に残った。今年はどんな言葉が飛び出すか、楽しみに待ちたい。(記者コラム・川島 毅洋)

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