マエケン 黒田流で米1勝 フロントドアにバックドア!試した

[ 2016年3月12日 05:30 ]

ドジャースの前田(AP)

オープン戦 ドジャース8―3アスレチックス

(3月10日 メサ)
 ドジャースの前田健太投手(27)が、オープン戦2度目の登板で「メジャー初勝利」を記録した。10日(日本時間11日)、アスレチックス戦に先発して3回を2安打3奪三振、2四球で無失点。本調子ではない中で得点を許さず、昨季広島で同僚だった元ド軍の黒田博樹投手(41)が得意とする「バックドア」、「フロントドア」のツーシームを試投する場面もあった。メジャー流に適応するとともに、自らの投球を進化させる。

 2回1死、打席には右の強打者バトラー。前田は2球で追い込むと90マイル(約145キロ)のツーシームを投じた。外角から真ん中寄りへ描かれた「バックドア」の軌道にバットは動かず見逃し三振。「外から中に入ってきた。いい配球だった」とバトラー。メジャー通算142本塁打を誇り、14年にロイヤルズの4番でア・リーグ制覇に貢献した男は負けを認めた。

 前田は冷静に自己評価した。「あまり動いていなかったですけど、結果的に三振を取れた。また精度を上げていければ」。3回2死では、左打者の2番コグランに対し、内角のボールゾーンからストライクゾーンぎりぎりを狙った「フロントドア」のツーシームを試投した。甘く入って中前に運ばれ「コントロールミスですね」と悔やんだ。

 若手主体だった前回のダイヤモンドバックス戦と違い、主力が中心。「調子は全体的に良くなかった」と振り返り、2四球を与える場面もあった。審判のストライクゾーンも前回より狭いなど悪条件が重なった。それでも3回を無失点にまとめ、通算5回連続無失点。しかも縫い目が高く、変化球が曲がりやすいとされるメジャー球を駆使し、シーズンに向けて早い段階で「動く速球」の新たな組み立ても試した。

 コンビを組んだベテラン捕手のエリスも適役だった。黒田が「ドア系」の魔球を本格的に使い始めた10年にバッテリーを組んでいた。前田のツーシームを「今は右打者の内角、左打者の外角に投げるのに自信を持っているけど右打者の外、左打者の内はこれから」と指摘。その上で「投げ方や他の球種をうまくミックスするところは黒田を思い出す。マスターすれば大きな武器になる」とサポートを誓った。

 カーブやチェンジアップの「遅球系」を有効に使う緩急自在の投球も健在。最速は91マイル(約146キロ)ながら完全に打者のタイミングを狂わせた。前回の試合で「マエケン体操」を封印した前田は「ベンチ(裏)のところで隠れてやっています」と笑み。メジャーへの適応に向けて、着々と段階を踏んでいる。(メサ・奥田 秀樹通信員)

 ▽バックドアとフロントドア 外角ボールゾーンからストライクゾーンに入る軌道をバックドア、内角ボールゾーンからストライクゾーンに入る軌道をフロントドアと呼ぶ。フロントドアは死球になる可能性があるため、より高度な制球が要求される。黒田はド軍時代の08年に同僚だったメジャー通算355勝を誇るグレグ・マダックス(現ド軍編成本部長特別補佐)からフロントドアを学んだ。

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