優勝校の約3割が初戦1点差勝利 今年のセンバツも好ゲーム期待

[ 2016年3月10日 08:00 ]

 春はセンバツから。11日、第88回選抜高校野球大会(20日から12日間、甲子園)の組み合わせ抽選会が行われ、1回戦16試合の対戦カードが決まる。

 大会は1924年(大正13年)に「選抜中等学校野球大会」として産声を上げ、名古屋市の山本球場で開催された。参加校数は8校。高松商が開幕試合で和歌山中に7―6で競り勝ち、記念の1勝を挙げた。高松商は決勝で早実を2―0で下して優勝した。

 センバツの歴史を振り返ると、初代王者・高松商のように「初戦は1点差で勝利→優勝」という高校が多い。同様のパターンでの優勝校を挙げてみた(カッコ数字は大会)。

 (2)松山商(10)岐阜商(18)東邦商(20)京都一商(24)静岡商(26)飯田長姫(28)中京商(29)早実(39)津久見(40)大宮工(46)報徳学園(47)高知(49)箕島(64)帝京(65)上宮(68)鹿児島実(69)天理(71)沖縄尚学(72)東海大相模(73)常総学院(74)報徳学園(78)横浜(79)常葉菊川(80)沖縄尚学。

 歴代優勝校の約3割にあたる25校が初戦で手に汗握る1点差の試合をものにし、頂点まで駆け上がっている。

 甲子園で実際に取材して強く記憶に残っているのは、第68回大会(96年)の鹿児島実と第71回大会(99年)の沖縄尚学だ。いずれも福岡での勤務時代で九州・沖縄の高校を担当した。鹿児島実は横浜(現DeNA)でもプレーしたエース下窪陽介が1回戦で伊都に1失点完投し、2―1で競り勝った。正確なコントロールを誇ったが、右肩を痛めて日大で野手に転向し、プロでは外野手登録だった。沖縄尚学は現在の監督である左腕・比嘉公也を擁し、1回戦で比叡山に1―0で競り勝った勢いのまま優勝。鹿児島実、沖縄尚学ともに春夏の甲子園での県勢初優勝で地元は大いに盛り上がった。

 「春は投手力」と言われるように、ロースコアの試合が多いのが、接戦が多くなる要因ではないだろうか。激戦を制した自信が、その後の試合ぶりに好影響をもららすようにも思える。第63回大会(91年)の広陵は1回戦の三田学園戦が3―3の9回降雨引き分けだった。再試合を8―2で制して、決勝では6―5で松商学園を下して栄冠を手にしている。

 接戦をくぐり抜けてセンバツの初代王者となった高松商が20年ぶりに帰ってくる今年のセンバツは、どんな熱戦が見られるのだろうか。1回戦16試合の半分の8試合が1点差ゲームだった第79回大会(2007年)のようなケースもある。今大会も1回戦から好ゲームが多く見られることを期待しつつ、組み合わせ抽選会に注目したい。(記者コラム・森 寛一)

続きを表示

2016年3月10日のニュース