ゼロからのスタート選んだ木村昇 西武変革の「広島力」に注目

[ 2016年3月7日 08:45 ]

投内連携で汗を流す木村昇

 広がる赤色に溶け込んだ青色――。5、6日のオープン戦、広島―西武2連戦で、広島の首脳陣や選手、関係者に次々と頭を下げ、握手を交わす西武の選手がいた。木村昇吾。FA宣言で広島を離れ、キャンプでの入団テストの末に新天地を得たプロ14年目だ。

 ユニホームを変えて乗り込んだマツダスタジアム。ビジターの三塁ベンチで試合準備を進めながら「(同球場の開場から)7年もプレーしていたので不思議な感じ」と話した。「胸を借ります」と臨んだ古巣との対戦は、5日に「2番・遊撃」でスタメン出場。安打はなかったが、第1打席ではカウント0―2から粘って四球を選んだ。広島ファンから注がれた拍手は温かく、ベンチに欠かせないユーティリティー選手だった在籍8年間の働きを物語った。

 西武ベンチでは嶋重宣打撃コーチも「元広島」だ。現役生活最後の2シーズンを過ごした西武で指導者に転身し、今季から2軍コーチから昇格した。「13年末に松田オーナーに現役引退のあいさつをしに来て以来です」という広島訪問。「嶋さ~ん」のファンの呼び声が「赤ゴジラ」の根強い人気を思わせた。

 バックネット裏の球団ブースに陣取ったのは広池浩司チーム戦略ディレクター。学生時代は立大の4番、一般就職した全日空を辞め、入団テストを経て98年ドラフトで投手として広島入りした経緯が話題を呼んだ、その人だ。10年限りで現役引退した後は、西武で打撃投手に転身。さらには球団寮の副寮長、ファームディレクターと育成畑を歩んだ。昨秋から就いた現職については「チームにいいものを取り入れ、不要なものは変えていく。その提言をしていく役割で、やりがいを感じています」と語る。

 4月に36歳になる「松坂世代」の木村昇は、上本、渡辺、同じ新加入の竹原と並んでチーム日本人選手最年長。働き場所を選ばない小回りの良さと、ゼロからのスタートを選んだ覚悟はチームの力になるだろう。そして、嶋コーチに広池氏。Bクラスが2年続いた西武の変革に寄与する「広島力」に注目したい。(記者コラム・和田 裕司)

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2016年3月7日のニュース