筒香、侍4番初アーチ!小久保監督認めた「風格出てきている」

[ 2016年3月7日 05:30 ]

<台湾・日本>お立ち台で「アイ・ラブ・侍!」と叫ぶ筒香

日本通運 Presents 侍ジャパン強化試合 日本代表9―3台湾代表

(3月6日 京セラD)
 侍4番弾!侍ジャパンは6日、台湾代表との強化試合第2戦を行い、9―3と逆転勝ちして2連勝した。一挙6得点で試合を決めた9回には筒香嘉智外野手(24)が右越え2ラン。侍ジャパンの4番初アーチを放った筒香は4回に同点犠飛を放つなど、2安打3打点で主砲の役割を果たした。侍ジャパンは11月にも強化試合を行う予定で来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還に挑む。

 筒香の集中力は最後の瞬間まで研ぎ澄まされていた。9回、7―1とリードを広げてなお1死三塁。カウント1―1から真ん中低めの137キロスライダーを射抜いた。

 「前の方たちが勢いをつけてくださったので、うまく乗れました。とにかく強いスイングをしようと。ホームランは狙っていませんが、うまく打てたかなと思う」

 代表では昨年11月5日のプエルトリコ戦(ヤフオクドーム)以来の2号だが、4番では自身初アーチだった。1安打1打点を挙げた前日の5番から、中田と入れ替わり4番に入り、1点を追う4回無死一、三塁では中堅フェンス手前まで運ぶ同点の中犠飛を放った。4番とは――。筒香は「チャンスに強くて、打点がほしい場面で挙げられる打者。信頼されて打席に立てる打者」と言った。8回の中前打を含め、全ての打席を自分のタイミングで振り切った。

 前回13年の第3回WBCでは寮で侍ジャパンの試合を見ていた。「ただ、ただ、凄いと。僕は1軍の試合にも出ていなかった」。憧れや目標と言えないほど遠い存在だった。だが、転機はその年の8月にあった。2軍降格した際に、当時DeNAで現役選手のラミレス監督に言われた。「おまえはベイスターズの4番を目指していてはダメだ。日本代表の4番を目指すんだ」。その言葉は確実に筒香を変えた。

 右足を上げず、すり足に近いノーステップでの新打法は「ブレは少ないと思いますし、大きく崩されることはなくなった」と手応えは深まった。バットもホワイトアッシュからより反発の大きいメープルに替えた。重量は昨年までの900グラムから880グラムに軽量化。その分、芯の位置を先端へとずらした。相手投手の微妙な球の変化、球威に押されない「世界基準」の改革を施した。

 昨年12月のドミニカ共和国でのウインターリーグ。グラウンド外に目を移すと、木の板をバットにし、グラブを持たない少年が笑顔で空き地で球を追っていた。「野球を楽しむ」。誰かにやらされるのではなく、自分で課題を見つけ、信念を持って取り組む。そして選手の「自分を信じる」心の強さを感じた。周囲の重圧や期待に押しつぶされる弱さは消えた。「堂々としている。野球に取り組む姿勢を含め、風格も出てきている」と小久保監督に言わしめた。

 過去3回のWBCでは4番に苦しんだ。だが、来年3月の本番からちょうど1年前に見せたパフォーマンス。4番定着へ大きく近づいた。「アイ・ラブ・侍で締めたいと思います。いきまーす、アイ・ラブ・さむらーい!」。最後はお立ち台で力強く雄叫びを上げた。(倉橋 憲史)

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