前日引退 松中さんの思い胸に…松坂288日ぶり実戦へ

[ 2016年3月3日 09:30 ]

キャッチボールで調整するソフトバンク・松坂

 昨年8月の右肩手術から復活を目指すソフトバンクの松坂大輔投手(35)が、3日の韓国・斗山戦(アイビー)で術後初の実戦マウンドに上がる。昨年5月20日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(高知)以来、実に288日ぶり。入念なキャッチボールなどで最終調整をした右腕は1日に引退会見をしたライバル・松中信彦氏(42)への熱い思いも語った。

 室内練習場で行うキャッチボールが、少しずつ熱を帯びていく。直球に加えカーブ、スライダー、チェンジアップを交えた。セットポジションは一塁や二塁走者を仮想し、目視。最後には「5球だけ」と相手を座らせた。ミットとボール、それぞれの皮がぶつかり合う音が5度、響く。いよいよ、きょう実戦復帰だ。

 「高度な練習になるようにしたい。抑えることは目的ではない」。韓国・斗山を相手に先発で2イニングを投げる予定。昨年5月20日の2軍戦以来、288日ぶりの対外試合だが、松坂の頭の中では練習の延長線上。「今、できていないことをできるように」と結果より内容を重視する構えだ。

 1日には幾多の名勝負を繰り広げた松中氏が、引退した。「内角のストレートを(右翼)ポール内側に運ぶ技術は現役の打者では、いない。手が付けられない時は打ち損じを願いました。(昨季2軍で)飛距離も出てたし、まだやれるのではと思っていた」とライバルの幕引きを惜しんだ。

 「記憶に残っている対戦は(松中氏と)一緒だと思います」と、05年7月15日のソフトバンク―西武戦(ヤフードーム)で松中氏に浴びた一試合3本塁打を思い出に挙げた。1、2打席は直球を打たれたが、3打席目の初球はまた、内角直球を選んだ。「(3打席目は)間違いなく変化球だと思った」と意表を突かれた松中氏は見逃し。松坂は「試合に勝つことを考えれば変化球もあるけど個人の勝負がある中で勝ちたい。そういうのがプロと思っていた」とこだわりを明かした。

 35歳の今もまだ、その思いはあるかと問われると「そういう気持ちはあるんじゃないですか」と即答。バットを置いた盟友が咲かせられなかった「もう一花」を、松坂は開花させる。(福浦 健太郎)

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2016年3月3日のニュース