ボンズコーチ イチとのコラボ以上に主砲スタントンへの影響期待

[ 2016年2月29日 08:00 ]

ボンズ打撃コーチ(左)と話すイチロー

 大リーグ歴代最多762本塁打の記録を持つバリー・ボンズ氏が、今季からマーリンズの打撃コーチに就任。通算2935安打で並んでいるイチローとの「コラボ」が話題となっているが、球団が一番期待しているのは、若き主砲スタントンへの影響だ。

 ボンズ氏は90年代後半から00年代にかけての、いわゆる「ステロイド時代」の中心にいた一人。確かに薬物使用疑惑はあったが、当時現場で取材していても「筋肉増強剤を実際に使っているかは分からないが、彼のボールを的確に捉える技術は疑いようがない」と言う大リーグ関係者は多かった。本塁打ばかりにスポットライトが当たっていたが、シーズン最多73本塁打をマークした翌年の02年は・370で、04年も・362の高打率で首位打者になっている。

 ボンズ氏の打撃は、偉大な父ボビー・ボンズ氏の教えが基礎になっている。以前、米国の番組で、息子を教える映像を見たことがあるが、父がトス打撃のようにボールを投げ、息子はバットを持たずに構えて左手でホームベースの真上でつかむ練習を繰り返していた。重心を後ろに残してギリギリまでボールを呼び込み、最短距離でボールを「つかむ」感覚を養うためだ。

 打撃が完成された晩年はとにかくミスショットが少なく、選球眼も抜群に良かった。通算2558四球は大リーグ歴代最多。首位打者を獲得した02年はシーズン198個、04年は232個の四球(その半分は敬遠だが)を選び、その年の三振数は02年が47個、04年が41個。これは同じ年のイチローより15~20個も少ない数字だ。

 話はスタントンに戻る。昨年11月に史上最高額となる総額3億2500万ドル(約370億円)で13年契約を結んだ26歳のスラッガー。37本で初の本塁打王を獲得した14年は、打率・288で、170三振を喫した。故障で74試合の出場にとどまった昨季も95三振で、四球は34個しかなかった。昨季の本塁打の飛距離トップ10で、3本がランクインしたスタントンは、メジャー屈指の飛ばし屋だ。そこにボンズ氏の技術が加わった時、一体、どんな化学反応を起こすのか、楽しみだ。

 ボンズ氏が現場の指導者を務めるのは初めて。名選手が必ずしも名指導者になるとは限らないが、同時期に本塁打で沸かせたマーク・マグワイア氏は10年にカージナルスで指導者の道をスタートさせ、今季からはパドレスのベンチコーチに。レッドソックスなどで活躍したマニー・ラミレス氏は昨季からカブスの打撃コンサルタントに就任した。かつての超一流打者がどんなスラッガーを育てるのかにも注目したい。(記者コラム・甘利 陽一)

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