菅野 3年ぶりワンシーム解禁!ギャレット絶賛「グリンキーに似ている」

[ 2016年2月10日 05:30 ]

ブルペンで沢村(右)と並び投げ込む菅野

 軌道が変わった。ホームべース手前。巨人・菅野が投じたボールは、捕手のミットから逃げるように変化した。ルーキーイヤーの13年以来となるワンシームだ。今キャンプ4度目のブルペンで最多の102球を投じ、そのうち15球を費やした。

 「きょう初めて投げました。自分の中で手応えがあったし(捕手の)小林も“いい軌道”と言っていた」

 進化した指先が3年ぶりの解禁につながった。昨オフ、1月と指先の力を強化し、ボールが指により掛かるようになったという。直球は指で押し込むことで高めに抜ける球が減ったが、半面、昨年まで左、右いずれの打者にも外角へ投げていたツーシームが「指先を鍛えた分、引っ掛かり気味になってしまった」。そこで縫い目に指を沿うように握るワンシームを選択。キャッチボールで感覚を思い起こし、この日初めて試した。受けた小林誠は「高さやコースによって(軌道が)変化する」と驚嘆。ツーシームはシュート気味に曲がる変化は一定しているが、ワンシームは縫い目を指に掛ずに投げるため変化の予測が不能。打者にとってやっかいな球だ。菅野は「(投球の)軸になるようにしたい」と力強く語った。14、15年はツーシームに頼ってきたが、今季はカットボールと並ぶ主な変化球にする。

 ブルペンで左打席に立ったメジャー通算122発のギャレットは「とてもいい投手。グリンキーに似ている」と絶賛。5年連続15勝以上をマークし、6年総額2億650万ドル(約237億4800万円)でダイヤモンドバックス入りしたメジャー屈指の右腕に例えられた。まだキャンプ序盤でさらに精度を上げる余地はある。

 11日から始まる第3クールからは実戦メニューが増えていく。14日の紅白戦に登板予定の菅野は変化球を多めに投げ、クイックも試して2クール目を終えた。「細かい変化は打者の反応も見たい」。もちろん原点回帰のワンシームも投げていく。 (川手 達矢)

 ▽ワンシーム 人さし指、中指をボールの縫い目(シーム)と平行にし、縫い目を挟むように握って投げるムービングファストボール(動く直球)の一種。ボールの進行方向の面に対し、直球(フォーシーム)は1回転の間に縫い目が4度、ツーシームは2度通過する。ワンシームは縫い目が縦の1本線のように見える。縫い目の角度によって、変化が複雑になるため制球が難しく、高度な技術が必要になる。

 ▽ザック・グリンキー ドジャースに在籍した昨季は19勝3敗、リーグトップの防御率1.66で地区3連覇に貢献した右腕。90マイル(約150キロ)台前半の直球をコーナーに集める制球力が最大の武器でスライダーとチェンジアップを決め球とする。09年のロイヤルズ時代にサイ・ヤング賞を獲得。通算364試合で142勝93敗、防御率3.35。

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