取材陣もピリピリ…清原容疑者を取り巻いていた“異様な雰囲気”

[ 2016年2月10日 11:00 ]

2005年12月、名球会イベントで談笑する清原容疑者

 05年12月のこと。日本一となったロッテの優勝旅行に同行してハワイにいた。滞在中に、勇退したばかりのオリックス・仰木彬前監督の訃報が飛び込んできた。名球会イベントもハワイで行われていたため、そちらの取材にも借り出された。

 そこには先日、覚せい剤所持容疑で逮捕された清原和博容疑者がいた。巨人を自由契約となったばかりだが、当時はオリックス入りが有力視され、名球会パーティーに飛び入り参加したロッテのボビー・バレンタイン監督も「清原さんがオリックスに来たらファンがたくさん来る。パ・リーグが盛り上がる」と発言した。

 周りには、普段から清原容疑者を取材している各社の先輩記者も多かったが、「面識のない人の方が(清原容疑者は)話をする可能性が高い」と言われ、初対面だった自分がバレンタイン監督の発言をぶつけた。すると、「ありがたいです」と一言が返ってきた。すると、周囲からは「ナイスファイト!」と称賛された。いろんな誤解もあったのだろう。メディアと清原の関係性が良好でないとは聞いていた。しかし、実際に取材現場にいると異様な雰囲気に感じた。

 もう10年以上前の話である。それ以降、数多くのプロ野球選手と接し、取材してきた。ときには、あいさつしても反応がない選手もいた。または消えるような声であいさつを返してくれるが、こちらの目を見ることもない選手もいた。どこの世界でも同じなのかもしれない。ただ、そういう人に限って、親しい人には自ら足を運んで丁寧なあいさつをする。

 一方で、現役を引退して、ある球団のスタッフとして働いている人から言われたこともある。「同じ野球界で働いていて、一緒に野球界を盛り上げようと思っているから、こちらもあいさつをしようとしているのに、すれ違っても顔を合わせることなく、通り過ぎている記者が最近多い。どうしてなの?」――。耳が痛いし、返す言葉もなかった。

 果たして自分はどうなのか。以前、「和製ライアン」ことヤクルトの小川泰弘をいわゆるぶら下がり取材していたときに、道に落ちていた紙くずを見つけると、それを拾ってユニホームのポケットに入れて持ち帰っていた。野球が上手なだけでく、素晴らしい選手だと感じた。まずは些細なことでいい。みんなが野球界をよくするために、どうしたらいいのかを考えた方がいい。そう思った。(記者コラム=横市 勇)

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2016年2月10日のニュース