史上初の人的補償からの古巣復帰…巨人・脇谷の挑戦

[ 2016年2月3日 09:10 ]

1月、高橋監督と談笑する脇谷

 野球選手にとって「元日」とも言われる2月1日。1軍選手たちが練習を始めたすぐ脇、三塁側ファウルゾーン。軽いジョギングで始動した男がいた。巨人に3年ぶりに復帰した脇谷である。

 「焦りがないことはない。でも、いまは、自分がやれることをしっかりとやっていきたい」

 昨年9月に右足首を骨折し、現在は杉内や西村らとともにリハビリ中。時折、元気いっぱいに動きまわる1軍ナインをうらやましそうに見つめる姿が印象的だった。ジョギングの後はアップシューズのまま軽めのステップなどを行い、ティー打撃で練習は終了した。

 13年オフ。巨人がFAで獲得した片岡の人的補償で西武へ移籍。そして昨オフ、フリーエージェント(FA)を行使して史上初の人的補償からの古巣復帰となった。昨季は118試合に出場。5年ぶりの100試合以上出場となり、自らの働き場を確立した。西武球団に対しては「僕を温かく迎えてくれた」と感謝の思いは強かったという。それでも「凄く迷ったけど、もう一回チャレンジしようと思った」と挑戦の道を選んだ。古巣復帰と言えば聞こえはいいが、もちろん活躍の場が与えられる保証はない。FAでも契約は単年だ。二塁のレギュラーには片岡がいる。さらには堅実な守備と勝負強い打撃に定評があるクルーズをロッテから獲得。三塁にも村田、成長株の岡本が控えている。

 脇谷の入団会見時、堤辰佳GMは「競争をあおっていける選手でいてほしい」と期待した。脇谷自身も「(レギュラー)争いが激しくなればいい」と同調する。近年の巨人は外野の定位置争いが目立つ一方、内野は生え抜きの坂本に、FA組の村田や片岡、経験豊富な井端と顔ぶれが決まっていた。今季の内野は、外野に負けない激しい争いが予想される。

 これこそがチームの底上げにつながり、昨年、頭を悩ませたけが人続出時の備えにもなる。脇谷のキャンプ中の目標はスパイクを履いてノックを受けることだという。リハビリを終えても、今度はし烈な定位置争いが待ち受ける。順調にいけば実戦復帰は3月中旬だ。「少しでも恩返ししたい。少しでも僕が力になれればいい」。今年で35歳。脇谷の挑戦は始まったばかりだ。(記者コラム 川手 達矢)

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2016年2月3日のニュース