【張本勲氏が語る榎本喜八氏】この人には勝てないとただ一人思った打者

[ 2016年1月19日 08:20 ]

榎本喜八氏

野球殿堂・競技者表彰

(1月18日)
 【張本勲氏が語る榎本喜八氏】

 この人には勝てない。現役時代、そう思わされたただ一人の打者だった。

 私は計7度、首位打者を獲った。しかし60、66年は榎本さんの後塵(じん)を拝した。当時、一騎打ちして負けたのは榎本さんだけだった。左打者としては完璧だった。川上哲治さんより理想的だったのではないか。「静」の中に「動」があるフォーム。まるで動かないように見えて、静かに膝でタイミングを取る。体が開くわけでも突っ込むわけでもない。今回、スピーチをさせていただくに当たって、当時の連続写真をあらためて見た。まるで教科書のようなスイングだった。

 実は榎本さんとは、ほとんど話をしたことがない。試合前など、打撃ケージ裏で何度も練習を見させてもらった。ただ、言葉を交わすのはあいさつ程度。榎本さんは一塁手で、私が出塁した時に「どうも。こんばんは」と言うぐらいだった。口数が少なく生真面目で、妥協なく我が道をいく。本当の職人気質の選手だったと思う。 (スポニチ本紙評論家)
 
 ▼有藤通世氏(スポニチ本紙評論家)私がロッテに入団した69年、最初に見たプロの選手が榎本さんだった。東京球場での自主トレ。ティー打撃でのスイングに全く狂いがない。まるで機械のよう。「凄い…」という言葉しか出てこなかった。打撃のことを聞きにいったこともある。でも何も言わなかった。もともと口数が少なく、求道者のような人だった。

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