唯一の高卒、甲子園出場なくても…阪神ドラ4望月 3兄弟末っ子の挑戦

[ 2016年1月18日 08:20 ]

晴天の下でキャッチボールをする望月。兄2人の思いを受けプロの舞台に挑む

 阪神・望月は新人6選手で唯一の高卒。甲子園出場経験はなく全国的な知名度も低い。それでも最速148キロを誇る1メートル88の大型右腕は、球団から伸びしろに大きな期待を寄せられている。無限の可能性に向かってプロの世界に飛び込んだ18歳は、元日に「原点」に立ち返っていた。

 「兄貴たちとキャッチボールしたんです。初めて野球を始めた場所で、もう一度3人でできたことは区切りとしても意味が大きいです。ここから始まったわけですから」

 男3兄弟の末っ子で育ち、直翔さん(22)と賢太さん(20)の影響で野球を始めた。2人の兄はすでに横浜市の実家を離れており、3人がそろうのは「いつ以来か思い出せないほど」だった。同市内にある少年野球時代に練習したグラウンドで約1時間半、当時に戻ったかのように腕を振っていた。

 「懐かしさやこれからに向けて感じるものもありました」。いつしか目標だった兄2人を追い越していた。高2秋の県大会では長身から投げ下ろす直球を武器に1試合16奪三振を記録。同じユニホームを着ることになった藤川を手本に速球を磨き、高3で球速は5キロ増した。賢太さんは「いつの間にか僕より身長も大きくなってプロ野球選手になるんだと感じた。球も受けてみて、えげつなかった」と頼もしそうに弟を見つめた。

 グラブに収めた白球には兄たちからのエールも込められていた。望月が投げる一球には、3人分の思いが詰まっている。(久林 幸平)

 ◆望月 惇志(もちづき・あつし)1997年(平9)8月2日、神奈川県横浜市出身の18歳。5歳から野球を始め、芹が谷中では横浜南ボーイズに所属。横浜創学館では2年春からベンチ入りし、同秋からエース。3年夏は5回戦で敗退。1メートル88、84キロ。右投げ右打ち。

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2016年1月18日のニュース