高橋“惑わす”超魔球模索“S字シンカー”だ

[ 2016年1月14日 07:30 ]

キャッチボールで調整する高橋(後方は岩瀬) 

 国内フリーエージェント(FA)権を行使し中日から阪神に移籍した高橋聡文投手(32)が13日、鳥取での自主トレーニングで魔球に取り組んでいることを明かした。同日、福原忍投手(39)は甲子園球場で自主トレーニングを公開し、3年連続、救援投手では史上初となる40歳シーズンでのタイトル獲得に自然体で挑むことを誓った。両腕が猛虎のブルペンを支えていく。

 充実感に溢れた表情が状態の良さを物語っていた。9日から恒例の鳥取自主トレをスタートさせた左腕。初動負荷理論で有名な「ワールドウィング」でトレーニング後、近くにある市営美保球場で、ブルペン投球のような力のこもったキャッチボールを見せるだけではなく、驚異的な軌道を描く新球まで試投した。

 「最初に右打者の内角に向かったボールが、最後は外角に落ちるイメージですかね。実戦で使えるかどうかは(現段階では)わからないけど、試しています」

 “S字シンカー”とでも言おうか。高橋の視点からすると右方向に曲がりかけたボールが、そこから左に曲がり落ちる。物理学の常識を覆すような文字通りの「魔球」だ。まだまだ試投段階で、打者に向かって投げられるかは未知数。ただ、古巣・中日の山本昌氏や岩瀬も師事する「ワールドウィング」の小山裕史代表(59)はその威力に太鼓判を押した。

 「フォークでもスプリットでもない。S字の変化です。スピードがあって動いて落ちる。ものすごい球ですよ」

 その新球以上に高橋本人が強調するのが、肩肘の状態の良さだ。「ようやく不安なく投げられるようになった」と前日12日には早くもブルペンで20球。ド迫力の投球を見守った小山代表は「今までで一番いい。直球のスピード、回転数がはるかにアップしている。メジャーのクローザーぐらいの球威」と大絶賛した。

 10年に63試合で4勝1敗31ホールド、防御率1・61の抜群の成績で中日の優勝に貢献。FA権行使の情報が入るや、当時よく対戦し実力を知る金本監督が獲得に向け動くことを即決した。11年以降は相次ぐケガに悩まされ、目立った結果は出せていないが、高橋自身も復活への手応えがあるからこそのFA宣言だ。

 「この時期の状態ならあの頃(10年)よりずっといい。キャンプではアピールしながら、飛ばしすぎないようにやりたい」。チーム待望の左のセットアッパー候補。「ドラゴンズは大変な選手を出してしまった」という小山代表の予言が現実になることに期待だ。(山添 晴治)

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2016年1月14日のニュース