長嶋氏 王氏打ち 始球式4球目を三塁方向へ「当たったね」

[ 2016年1月12日 05:30 ]

名球会ベースボールフェスティバル2016の始球式で実現した「王VS長嶋」

名球会ベースボールフェスティバル2016

(1月11日 ヤフオクドーム)
 ヤフオクドームが2人だけの空間に包まれた。マウンドに立った王氏。そして左手にバットを持った長嶋氏がゆっくりとバッターボックスに立った。2度、3度、バットの軌道を確認する。4球目。外寄りの球を三塁方向へはじき返した。

 「バットは振るけど、当たるかは分からない。王さんが何を投げるか。カーブを投げるか、シュートを投げるか。面白い。ボールについていこうと思います」

 グラウンドに出る前にそう話した長嶋氏は、薄紫色のセーターの上にユニホームをまとい、膝を曲げ、体を深く沈み込ませたフォームで力強く振り抜いた。13年5月5日の国民栄誉賞授与式で愛弟子の松井秀喜氏を相手にし、14年7月4日には400勝投手の金田正一氏を相手に打席に立ち、バットに当てて遊ゴロを放った時よりも、下半身を柔軟に使った一打だった。王氏の元へ歩み寄ると「当たったね」。満開の笑顔はグラウンドを後にするまで続いた。

 王氏は「当ててはいけないと思った。コントロールは良かったけどね。(体の)近めに投げてバットに当ててほしいと思ったけど外角に行ってしまった。でも良かった」と振り返った。1万7980人の観衆から贈られた温かい声は、プロ野球界発展の最大の功労者である2人への感謝でもあった。名球会の会員全員がベンチで拍手を送った。

 長嶋氏は野球教室からグラウンドに立ち、少年への指導とともに、名球会員にも一人一人、声を掛けた。精力的だった。

 「この野球教室は凄いと思った。来年、再来年と続けていければ。オリンピックにも野球を何としても選んでもらえるようにね」

 2人が公の場で、投手と野手で対戦した例は過去になかった。名球会が新たに踏み出した一大イベントの主役は、まぎれもなくONだった。 

続きを表示

この記事のフォト

2016年1月12日のニュース