大谷“下町ロケット品質”162キロ超えへ特殊球でフォーム磨き

[ 2016年1月11日 08:00 ]

羽根の付いた楕円形のボールでキャッチボールする大谷

 「ロケット投法」だ。日本ハム・大谷翔平投手(21)が10日、千葉県鎌ケ谷市の2軍施設で自主トレを行い、ロケットの形をしたボールを使ったトレーニングを導入した。真っすぐな軌道を描くと音が鳴る特殊球。腕を大きく振るトレーニングの一環で、リリースポイントはより打者に近づき、球速アップにつながる。このオフ、「100キロボディー」も手に入れた二刀流右腕は、新たなトレーニングでプロ野球記録で自身が持つ162キロの更新を目指す。

 「ピュー!ピュー!」。鎌ケ谷スタジアムに笛の音が鳴り響く。キャッチボールを行っていた大谷が手に持ったのは、羽根が付いた楕円(だえん)形の特殊ボール。その形はまるでロケットだ。一直線に伸び、先輩・増井のグラブに次々と突き刺さった。

 「遊びでやって投げているだけです。(今後使うかは)まだ分からないですね」とイタズラっぽく笑ったが、気に入った様子だ。増井も「さすが。やっぱり器用に投げますね」と感心した。

 「ヴォーテックスフットボール」と呼ばれる笛付きのボールで、肩や肘に負担を掛けずにスローイングチェックやボールの軌道を確認することができるという代物。広島からドジャースに移籍した前田健が使っており、増井も14年オフから取り入れた。球威、制球力がともに上がり、昨季は不動の守護神として39セーブをマーク。「腕を正しく、大きく使うことの確認。(ボールが)軽いので腕を大きく振らないときれいに飛ばない。きれいに(真っすぐ)飛んでいく時はピューッと音がする」と説明した。決して簡単ではない。だが大谷は初めてにもかかわらず、常に「笛の音」を響かせた。

 昨季は最多勝など投手3冠に輝き、今季はさらなる進化を目指している。「しっかりとしたトレーニングをしたら(球速は)勝手に伸びてくる」と手応えを口にし、この「ロケットトレ」でさらに腕を大きく振る意識は高まる。リリースポイントがより打者に近づくため、自然と球速が増すからだ。自身が持つプロ野球最速タイの162キロの更新、170キロ到達まで夢は広がっている。

 このオフには約8キロ増量し、体重は100キロに到達。1メートル93の長身だが、体重増で今まで以上に下半身に負担がかかる。それでも「よりしっかり(ケアを)やりたい。特に膝周り、下半身を鍛えておけば問題ないのかなと思う」と強調し、報道陣には「やることは多い。この(取材)時間も惜しいくらい」と苦笑いしながら訴えた。体のメンテナンスを怠らず、投げるボールにはさらに力強さが加わっている。

 昨年の人気ドラマ「下町ロケット」(TBS系列)の佃航平社長は「技術は嘘(うそ)をつかない」と言った。「ヴォーテックスフットボール」を販売する「ニシ・スポーツ」は東京都江東区新砂に本社を置く。工業地帯が広がる下町。二刀流の怪物は日本の技術の力を借り、フォームを磨く。(柳原 直之)

 ▽ヴォーテックス(VORTEX)フットボール スローイングチェックなどのための笛付き楕円ボール。全長約31・5センチ、直径約8・5センチ。重さは硬式球(141・7~148・8グラム)より軽い約130グラムで、ポリ塩化ビニール製。体育の授業や小学生の陸上競技大会などでも採用されている。「Vortex」は渦巻き、などの意味。ニシ・スポーツ社製で税込み2052円。同社は51年5月創業で、社員数116人(14年4月現在)。五輪などにも供給している陸上競技専用機器の製造、販売などで知られる。

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