“ドラフト超目玉”創価大・田中が始動「日本一しか考えてない」

[ 2016年1月10日 05:30 ]

全国制覇の文字を背にキャッチボールする創価大・田中

 「正義イヤー」が幕を開けた。今秋ドラフト最大の目玉、創価大の田中正義投手(21)が9日、東京都八王子市の同大グラウンドで練習始めを迎えた。最速156キロ右腕はプロ8球団10人のスカウト、報道陣19社約50人が駆けつけた中、力強く始動。東京新大学リーグで14連勝中の田中は大学ラストイヤーを無敗で締めくくり、同大初となる大学日本一へ導く決意を語った。

 田中の言葉に並々ならぬ覚悟がにじんでいた。練習後の取材対応。6台のテレビカメラと約50人の報道陣に囲まれ、大学ラストイヤーに臨む決意を堂々と宣言した。

 「負けたくないです。負けずに一年終われたら、やってて良かったと思える。日本一になることしか考えてません」

 今秋ドラフト最大の目玉の本格始動。練習開始の約1時間前に田中がグラウンドに現れるとテレビカメラが一挙手一投足を追いかけた。女性アナウンサーまで駆けつける異例のフィーバーに「だいたい予想通りでしたが、ちょっと動じました」と苦笑い。注目度は高まる一方だが「こういうのを乗り越えないと上ではやっていけない。プロに行ったらもっと凄いと思う。いまから経験できるのはプラス」と言ってのけた。

 田中は昨年6月に大学日本代表としてNPB選抜と対戦し、4回を完璧に抑え7連続を含む8三振を奪い、注目度を高めた。リーグ戦は2年春から14連勝中。昨秋は共栄大戦でノーヒットノーランを達成するなど、6勝0敗、同リーグ初の防御率0・00を記録。今年も春、秋のリーグ戦で連勝を伸ばせば、無敗で秋のドラフト会議を迎えて、大学OBの小川(現ヤクルト)が持つ25連勝のリーグ記録を塗り替える可能性もある。志願して主将になった右腕は「リーグ戦は最低5勝はしたい。全国では大事な試合は全部投げるという気持ちでいます」と強い責任感を口にした。

 年末年始も食事を徹底的に管理して「無休トレ」で汗を流し、この日も急な上り坂を軽快に駆け抜けた。岸雅司監督(60)は「リーグ戦は10戦全勝で優勝したい。誓願の日本一、が今年のスローガン。正義は勝って本当に凄いと証明されると思う」と厚い信頼を寄せ、4月2日の杏林大との今春リーグ開幕戦で田中が先発するか問われると「彼もそう思ってるでしょうし、他の人にしたら彼も怒るでしょう」と早くも開幕投手に指名した。

 テレビのインタビューで色紙に目標を記すように要望されると「字が汚いので…。これ全国ネット?やばいですね」と初々しい一面ものぞかせたが、「大学日本一」と力強くしたためた。「目の前の打者を抑えることで将来の道が広がっていくと思う」。日本ハム・大谷と同じ94年生まれの大物右腕は、大勢の視線を一身に受けながらドラフトイヤーの幕開けを迎えた。(青木 貴紀)

 ◆田中 正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、神奈川県生まれの21歳。小1から野球を始める。創価では1年夏に背番号1をつけたが、故障で同秋から外野手転向。甲子園出場はなし。創価大で投手に再転向し、2年春にリーグ戦デビューして、昨秋までリーグ戦通算15勝。1メートル86、91キロ。右投げ右打ち。

 ▽大学生投手の連勝記録 田中が所属する東京新大学リーグでは、創価大・小川(現ヤクルト)の25連勝が最多。小川は3年時の11年秋以降は負けなしで、通算36勝3敗、防御率0.60と驚異的な成績を残した。他リーグでは東京六大学が84年の法大・西川佳明(元阪神)の16、東都が07年の東洋大・大場(現中日)の14、関西六大学が72年の関大・山口高志(元阪急)の21など。また、プロ野球では13年に楽天・田中将大(現ヤンキース)がシーズン24勝無敗の新記録を樹立した。

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