巨人・菅野がマエケンの穴を埋める 球界支える超一流への飛躍を

[ 2016年1月6日 08:10 ]

超一流への飛躍が期待される巨人・菅野

 ポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた広島・前田健が、ドジャースと契約合意した。ダルビッシュや田中に続き、また一人、日本の若武者が海を渡る。活躍には大いに期待する一方で、プロ野球からエース級投手が抜けることも事実。残された国内組には、前田健の不在を感じさせないような高レベルな争いを演じてもらいたい。

 前田健が抜ける穴。そこを埋められる可能性を秘めた一人が巨人・菅野だと思っている。2年連続開幕投手を務めた昨季は25試合に登板し、10勝11敗。プロ3年目で初めて黒星が先行したが、防御率はリーグ2位の1・91と堂々たるものだった。打線の援護に見放されて勝ち星は伸びなかったが、菅野自身は「打線に助けてもらった白星もたくさんありますから」と淡々と話していた。

 1浪後に12年のドラフトを経て入団した。巨人のドラフト1位に加え、原監督(当時)のおいっ子として計り知れない期待と重圧を背負ってきただろう。そんな中で3年連続2桁勝利をマークしている。2年目には開幕投手を担い、最優秀防御率のタイトルを獲得し、ベストナインにも選出された。昨年も4月に前田健と2度の「スミ1」での投げ合いを演じるなど、いまやチームのエースに成長したのは誰もが認めるところ。すでに高橋新監督も16年の開幕投手最有力を示唆している。地に足をつけ、順調に階段を上がってきた。

 だからこそ。これからが大事になるし、そこに期待したい。一流選手から超一流選手になれるのか。巨人で言えば原前監督や高橋監督、阿部、杉内らがそうであるように、その領域に足を踏み入れられる選手はごくわずか。明確な定義などは存在しない。投手である菅野なら20勝や沢村賞獲得などが目に見えるものとしてはあるだろう。また、チームにとどまらず球界のエースと称された投手たちがそうだったように、ここ一番での勝利も求められてくる。

 昨季終了後、菅野も「ここ一番で勝てるような投手になりたい」と口にしている。ソフトバンクがヤクルトに圧勝した昨年の日本シリーズのように、ここ数年はパ・リーグの実力ばかりが目立っている。セ・リーグにも阪神・藤浪や中日・大野、ヤクルト・小川のように力のある若い投手は多い。菅野には実力だけでなく、強靱(きょうじん)な精神面も備わっている。セ、パの実力差を縮めるため、野球界の盛り上がりのためにも、菅野にはもう一段上のステージを目指してほしい。(川手 達矢)

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2016年1月6日のニュース