イチロー“自分の言葉”にこだわる理由「一番つらいのは無関心」

[ 2016年1月4日 10:20 ]

昨年12月23日に行われた「第20回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式で選手たちに言葉をかけるイチロー

 昨年12月23日に行われた「第20回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式を取材した。大会長を務めるイチロー(マーリンズ)が、「大人になると、(目が)ギラギラしてくる。このキラキラしている表情や空気はとても大切なこと」と小学生に対しても分かりやすく、かつ印象に残る言葉を使って訴えたのが印象的だった。

 イチローが言葉へのこだわりを持っていると再確認したのは、昨年1月29日のマ軍に移籍した際の入団会見だった。ファンへのメッセージを求められ、「これからも応援よろしくお願いします…、とは絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、やらなくてはいけないことを続けていく」と言った。ありきたりな言葉ではなく、イチローの個性が表れていた。

 トヨタの公式サイト上で「ICHIRO×AKIO TOYODA シリーズ対談」と題し、イチローが同社の豊田章男社長とさまざまなテーマに沿って対談している。その対談の中に「言葉へのこだわり」のテーマで、昨年1月の入団会見の言葉を補足するかのように、イチロー自身が言葉へのこだわりを語っている。「“あいつ、なんか面白いよな”。それは好きでも嫌いでもいい。“あいつ嫌いだな”というのは興味をひいてる証で“あいつ嫌い”と言われるのは結構好き。一番つらいのは無関心。大嫌いはやがて大好きに変わってくるかもしれない。そのためには自分の言葉を持っていないと。そういう人たちはきっと自分を持っているから、それこそ“応援してください”と締める人は興味を示してくれないと思う」と説明している。

 イチロー自身「自分が思っている感覚を表現するのに的確な表現、言葉が欲しいので、いつも探している」という。「人のインタビューを聞くのが結構好きで、“こう言うと人はこう感じるだろうな”、と勝手に自分は想像している。いいことを言っているけど伝わらないなという人は結構いて、そういう人は頭で理解している人。自分の中から生まれてきていないから、何となく薄っぺらく感じる」と言葉の大切さを力説。「難しい言葉を覚えることは全くなくて、分かりやすく誰もが理解できる言葉でもそれができると僕は信じている。言葉を生業にしている人は、難しい言葉で表現する人が結構いる。あれって書く人のエゴというか、あれが見えるのが凄く嫌なんですよ。“もっと分かりやすく書いてよ”って思う」。原稿を書く上での基礎を指摘されたようでハッとした。

 ピート・ローズが持つメジャー歴代最多の4256安打まで、日米通算で残り43本、メジャー通算3000安打まで残り65本で迎える今季。記録を打ち立てるたびに、さまざまな名言が生まれてきた。節目の記録を打ち立てた時に、イチローからどんな言葉が飛び出すのか。記録達成とともにその瞬間が楽しみでならない。(記者コラム・東尾 洋樹)

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