ユウイチ 探し続けた自分の道 国籍取得、バットは短く

[ 2015年12月25日 13:15 ]

10月29日、胴上げされるユウイチ

 目は真っ赤だった。10月29日、慣れ親しんだ本拠地神宮球場。前ヤクルトのユウイチが5度宙を舞った。「17年間苦しかった。神様からのプレゼントをもらった」。鳴りやまない大歓声と、グラウンドには愛する家族の姿。人目をはばからず、号泣した。

 ブラジル出身。高校卒業後の99年、野球留学生として来日し、ヤクルトのユニホームに袖を通した。しかし当時話せた日本語は「おはよう」と「さようなら」だけ。コミュニケーションを取ることができなかった。外国人枠争いは激しく、1軍は遠かった。故障もあった。転機は02年。ペタジーニに代わって1軍切符をつかんで試合出場を重ねると、一つの確信が生まれた。「外国人との勝負は難しいが、国籍取得できれば勝負できる」。04年、日本国籍を取得した。

 自分の道を探し続けた。「レギュラーが獲れなかった。なら、変えるしかなかった」と13年、バットを短く持つスタイルを固めた。「代打職人」としての生き方だ。来季からは2軍打撃コーチとして新たなスタートを切る。「一人一人、それぞれ違う選手。足が速い選手は塁に出る打撃、長打のある打者は得点圏で走者を還す打撃、それを頭に入れてほしい」と話す。自身が進んだような、それぞれの「生きる道」をアシストしていく。 (町田 利衣)

 ◇松元 ユウイチ外野手(まつもと・ゆういち)35歳、17年目。ワシントン・ルイス州立高。

 ▼通算 546試合、打率・263、11本塁打、115打点、1盗塁。

 最高年俸2200万円(15年)

 ▼思い出 02年5月30日巨人戦(神宮)でのプロ初安打。

 ▼再出発 ヤクルト2軍打撃コーチ。

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2015年12月25日のニュース