来季「51」を背負う巨人・堂上“今日だけ”の積み重ねで好結果

[ 2015年12月20日 08:00 ]

8月12日のDeNA戦でプロ初の満塁弾を放った堂上

 11月27日の契約更改。来季年俸2500万円(金額は推定)でサインした巨人・堂上は、激動の1年をしみじみ振り返った。「これだけ一日一日を鮮明に覚えている年はなかった」。紙面上では「1500万円から1000万円増」と表現された。しかし、昨季終了後に中日を戦力外となり、昨年11月18日に巨人と育成契約を結んだ時点での年俸は600万円。ここから考えれば、4倍以上アップしたことになる。

 2月23日に年俸1500万円で支配下登録。5日後の28日、ヤクルトのオープン戦で右手親指を骨折したが、めげなかった。完治させた後は、主に代打で活躍し、59試合で打率・276、3本塁打、13打点。「チャンスで打てず、だいぶ試合を落としてしまった」と反省が口をついたが、随所で持ち前のパンチ力が光った。現在はさらなるレベルアップに向け、ジャイアンツ球場で黙々とバットを振り込んでいる。

 どん底を経験し、雑念が消えた。「目の前のことに集中できるようになった。今までは先のことを考えてしまうところがあった。今日だけのことを考え、終わったら次のことを考える。“今日だけ”“今日だけ”の積み重ね。その方が、いいものが出せると思った」。動き始めるタイミングなど試合中のルーティンは、今季同じく代打待機が多かった高橋由(現監督)に学んだ。契約更改交渉の席上で、堂上が最も心に残った球団側の評価は「練習の準備と試合の準備」だったという。

 来季はメジャーでも「レジェンド」の域に達している愛工大名電の大先輩・イチロー(マーリンズ)の背番号51を背負う。イチローもルーティンや準備を誰よりも重視していることで有名だ。偉大な番号を球団から打診され、堂上は萎縮することなく「期待されていると思って、うれしかった」と意気に感じた。同じ左打ちのパワーヒッターで、メジャー通算122本塁打のジョーンズが加入。変わらず外野のライバルは多い。それでも、濃密な1年間の経験を糧に、来季も敢然と競争に挑む堂上の姿が目に浮かぶ。(記者コラム=大林 幹雄)

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2015年12月20日のニュース