いじめ撲滅訴えた青木、鍵谷…プロ野球選手だからできること

[ 2015年12月12日 09:30 ]

マリナーズの青木宣親外野手

 日本ハム・鍵谷が12月8日、札幌市内の商業施設で行われた「全国中学生人権作文コンテスト札幌地方大会表彰式」に出席した。作文は中学生たちが、日常で直面した「いじめ」や「差別」などについて、自分なりに感じたこと、考えたことを表現していた。

 そんな内容を熱心に聞いていた鍵谷も「たくさんの人が世界に住んでいる。みんなが幸せに生きていくためには、思いやりの心が大切。思いやりの心を持って生きましょう」と会場に呼びかけた。

 壇上からの鍵谷の叫びを聞いて、来季からマリナーズでプレーすることが決まった青木を思い出した。もう8年も前のことになる。現役プロ野球選手による高校球児と指導者を対象にしたシンポジウム「夢の向こうに」での出来事だった。

 故郷・宮崎で行われたシンポジウムに青木はパネリストとして登壇。全てが終了して参加選手が退場しようとしたときに、「一つ、いいですか?」と声を張り上げて一歩前に出た。「宮崎の野球部員の中でいじめをやっている現状があると耳にした。OBとして本当に悲しい」――。それまでの和やかな雰囲気は一変した。

 シンポジウム前に、青木は高野連関係者から、故郷の野球部内におけるいじめの実態を聞いたという。「人間的に成長できないと、野球の技術も進歩しない。みんなが自分の胸に手を当てて考えてほしい」とも訴えた。

 表彰式後、そんな出来事を思い出したと、鍵谷に伝えたら、「そういう繊細さ、責任感が、青木さんの野球のプレーにも表れているんですね」と真剣に聞いてくれた。みんなが憧れるプロ野球選手の影響力は大きい。だからこそ、青木のような選手がもっと増えてほしい。そう思った。(横市 勇)

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