杉内 意地と決意の大幅減申し出 手術で来季開幕絶望も出来高で取り戻す

[ 2015年12月11日 09:00 ]

杉内が報道機関宛てに送ったFAX

 巨人の杉内俊哉投手(35)が10日、都内のホテルで契約更改交渉に臨み、自ら大幅な減俸を申し入れ、プロ野球史上最大の減額となる4億5000万円減の年俸5000万円プラス出来高払いでサインした。これまでは12年オフの小笠原道大(当時巨人)の3億6000万円減が最大。ダウン率(移籍時を除く)の90%も史上最大となった。4年契約の最終年だった今季は6勝に終わり、10月に右股関節を手術。来季の開幕は絶望で、前半戦の復帰を目指す。

 年俸5000万円に意地と決意が込められていた。史上最大の4億5000万円減。野球協約に定められた減額制限(1億円超は40%)の倍以上となる90%である。杉内は右股関節の形成手術でリハビリ中のために記者会見は行わず、球団を通じて談話を出した。A4用紙一枚に、自らの思いをぎっしりと記した。

 「今回の手術で来年は開幕からプレーできないことが確定している上、(股関節という)前例が少ない手術。私から球団にお願いし、来年度については基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました」。10月1日に福岡県内の病院で手術を受けた。決断までに球団側と話し合いを重ねてきた。専門医も交えた。プロ野球選手として再び1軍レベルで活躍するには困難な手術であることも説明されたが「野球生命を懸ける。その覚悟を持ってやりたい」との思いをぶつけ、球団側も意思を尊重した。

 来季の契約についても「難しい手術と分かっている。できれば自分の方から返上させてもらえないか」と自ら大幅減俸を申し入れ、この日のサインに至ったという。杉内は談話で「出来高という目標をつくっていただいた方がリハビリ、トレーニングのやりがいも高まります」とつづった。その出来高についても、過去の実績から「期待値が高いので、簡単な出来高ではない」(球団幹部)とハードルは高い。

 術後の経過は順調だ。足を引きずりながらも、自力歩行できるまでに回復。それでも股関節の手術は大きなリスクを伴う。股関節は上半身と下半身を連動させ、投球動作に大きな役割を果たす。来季の開幕は絶望で、復帰のメドも「それは分からない。いつまでというと焦らせてしまう」と堤辰佳GM。今後も慎重にリハビリを続け、前半戦の復帰を目指していく。

 11年オフに4年総額20億円の大型契約でソフトバンクから巨人にFA移籍。エースナンバーを背負い、3年連続2桁勝利でリーグ3連覇に貢献した。今季は6勝にとどまり「もう一度、ファンの皆様、チームメートと球団の信頼を回復し、来年以降も巨人軍の背番号18に恥じないピッチングをお見せしていけるように頑張っていきたい」と誓った。 (川手 達矢)

 ≪移籍ノリは98%ダウン≫杉内(巨)が来季年俸5000万円で契約更改。今季5億円からのダウン額4億5000万円とダウン率90%は、同一球団の更改でともに過去最大の下げ幅となった。自由契約など移籍のケースを含めても、ダウン額は最大。ダウン率では、07年中村紀(オ→中)の98%ダウン(2億円→400万円)がある(育成契約、のちに年俸600万円で支配下登録)。

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