マエケン争奪戦ゴング!パドレス&ドジャースが有力な理由

[ 2015年12月10日 05:30 ]

マツダスタジアムを訪れた前田健

 広島は9日、大リーグ移籍を目指す前田健太投手(27)のポスティングシステム申請手続きを行ったことを明かした。現地9日(日本時間10日)には米大リーグ機構がポスティングシステムの申請が行われたことを全30球団に通知、米東部時間10日午前8時(同午後10時)から交渉が解禁される。今オフの大リーグFA市場は例年以上に動きが早く、大物投手が次々に契約。前田健を取り巻く状況も変化しており、ドジャースとパドレスの2球団が争奪戦をリードしている。30日間の交渉期限を待たず年内決着の可能性も出てきた。

 広島の鈴木清明球団本部長は、8日午前に日本野球機構(NPB)に申請書を送り、NPBから大リーグ機構(MLB)に通知したとの連絡をこの日の午前までに受けたと説明した。譲渡金額については明言こそ避けたが「ウチの勝ち頭の選手を出すわけだから。いい条件で契約が整ってほしい」と発言。上限の2000万ドル(約24億6000万円)に設定したとみられる。

 手続きが完了したことで、通知翌日の米東部時間10日午前8時に、いよいよ大リーグ球団との交渉が解禁となる。この日、マツダスタジアムで練習を行った前田健は、交渉を代理人のアダム・カッツ氏に一任しており「今、僕にできることは何もない」とだけ話した。

 当初、10球団以上による大争奪戦に発展する可能性もあったが、前田健を取り巻く状況は、ここ数日で激変した。獲得に最も積極的だったダイヤモンドバックスは、この日グリンキー(ドジャースからFA)との6年総額2億650万ドル(約254億円)での契約を正式発表。加えてブレーブスとの交換トレードで先発右腕ミラーも獲得し、完全撤退が決まった。

 同じく有力候補とみられていたジャイアンツも、ブルース・ボウチー監督がウインターミーティング会場で「興味があるし、どのチームもそそられるだろう」と好印象を口にしていたが、その夕方に地元メディアが「撤退」と一斉報道。カブスも実績ある2投手を獲得し、先発枠が埋まった。

 そこで争奪戦のトップランナーに躍り出たのが、ナ・リーグ西地区のライバル2球団だ。ドジャースはグリンキー退団の穴を岩隈獲得で埋めたが、もう一人若い先発右腕が欲しい。前田健獲得には、譲渡金を含めて8000万ドル(約98億4000万円)前後が相場とみられているが、屈指の資金力を誇るだけに問題ない。もう一つのパドレスはチーム再建中で、エースのシールズ、2番手キャッシュナーをトレードでの放出要員にするほど。数年後をにらみ若返りへ方針転換しており、27歳で5年以上の契約が望める前田健は最適な補強となる。日本市場に力を入れている背景もある。

 例年にない早さで大物投手の去就が決まっていることで、移籍先も絞られてくる。交渉期間は30日間だが、リミット3日前に合意した2年前のヤンキース・田中とはマーケットの状況が異なる。日本時間1月9日午前7時の期限を待たず、年内に「メジャーリーガー前田健太」が誕生する可能性も出てきた。

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