柳田 流行語大賞受賞の裏話…考える力、対応力の成長実感

[ 2015年12月8日 09:00 ]

「2015ユーキャン新語・流行語大賞」表彰式、「トリプルスリー」で年間大賞を受賞したソフトバンクの柳田悠岐(右)とヤクルトの山田哲人

 2015年の新語・流行語大賞は「爆買い」と「トリプルスリー」に決まった。後者は受賞後、ワイドショーで「トリプルスリー知ってます?」との街頭アンケートも見かけたように、野球ファン以外にはなじみは薄いかもしれない。野球の取材に携わる記者自身「え?」だった。当初はトップテン表彰だと聞いていたソフトバンク・柳田は「うそでしょ」と完全に虚を突かれていた。

 表情はみるみる曇る。年間大賞の受賞はスピーチがあるからだ。史上10人目の偉業を達成したこのオフには表彰式でマイクの前に立つ場面も多く、随分、慣れてきた印象だ。ただ、この日は事前選出の「トップテン」から当日、大賞を決める形式。「五郎丸(ポーズ)」を大賞と予想し、安心しきっていたから、お鉢が回ってくるとは夢にも思わなかったのだろう。

 完全アウェーだった控室もまた、重圧を高めた。部屋では選考委員の鳥越俊太郎氏を囲み、やくみつる氏、SEALDsの奥田愛基氏らが、政治談議に花を咲かせていた。「相方」のヤクルト・山田もまだ、来ていない。「みんな頭良さそう。場違いと思いました」。途中、お笑い芸人のとにかく明るい安村が到着したが「服着ていると誰だか、分からなかった」と緊張はピークだった。

 「このような話題性のある賞をいただき本当に光栄です。これをきっかけに、もっとみなさんに野球場に足を運んでいただき、野球を盛り上げていきたいと思います」

 あいさつはシンプルだった。一瞬、それ以上、言葉が出てこなかったのかとも気にかかったが、降壇した本人に「真意」を聞くと全く違った印象が言葉から伝わった。

 「哲人(山田)もいたんで、2人ならあいさつは簡潔な方がいいかなと思って。ああしました」とにやり。長くしゃべることだけが、名スピーチとは限らない。2人で受賞した「相方」への配分も考え、簡潔にしたという。場数を踏んだだけ、考える力や対応力は着実な成長を遂げている。何が飛び出すか分からない「ギータ節」が聞けなくなるのは少し、寂しい気もするが、成長を素直に喜びたいとも思った。(福浦 健太郎)

続きを表示

2015年12月8日のニュース