星野氏 由伸監督にダメ出し 個性尊重していたら「失敗します!」

[ 2015年12月7日 05:30 ]

壇上で笑顔を見せる楽天・星野球団副会長(右)と巨人・高橋監督

東京六大学野球連盟「結成90周年記念祝賀会」

(12月6日)
 1925年創設の東京六大学野球連盟は6日、東京都内で「結成90周年記念祝賀会」を開催し、立大のスター選手だった巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(79)ら球界著名人や現役部員を含む約1500人が節目を祝った。トークショーでは、86年オフに39歳の若さで中日監督となった明大OBの楽天・星野仙一球団副会長(68)が、慶大OBの巨人・高橋由伸新監督(40)に「闘将流監督道」を伝授し、会場を盛り上げた。

 やはり、役者が違う。トークショーで司会者から「隣の高橋監督に何かアドバイスを」と振られた星野副会長は「彼も40歳と若いけど、私は39歳で監督になった。同じ選手で仲間だった人間に命令口調になるのは難しいけど、まあ、しっかりやれ!」とアドバイス。大きな拍手が起こった。

 「闘将節」は止まらない。高橋監督が指導法について「意思を尊重し、個性を生かすのが今の選手に合っていると思う」と話すと、明大時代に「雨の中、パンツ一丁でマウンドに正座させられた」と理不尽な経験も披露していた星野副会長はリップサービスの意味も込めて「個性を生かすとか、若い選手の話を聞いてとか、言っていると失敗します!」と断言。これには高橋監督もタジタジになりながら「僕は優しいと言われるが、いいところでもあり悪いところ。星野さんまでいかなくても厳しい部分を出していければ」と言った。

 厳しいダメ出しは、もちろん期待の裏返しだ。現在、12球団の監督で東京六大学出身者は高橋監督のみ。監督に初就任した際の年齢が近く、青年監督の難しさも分かっている。高橋監督が言った「意思を尊重する」ことを頭から否定しているわけではない。ただ、選手としっかり線を引いて、厳しさも出さなければ「仲良し集団」になってしまう。星野副会長は「仲間(選手同士)だった頃は許せたこと、自分もヘマするかもなと思うことであっても、監督になったら言わなければいけない」と説明した。

 中日、阪神、楽天で3度の優勝経験がある星野副会長も時代に合わせ指導法は変わった。50代までは選手を直接怒ったが、60代だった楽天時代は選手を萎縮させないためにコーチに対して怒ることが多かった。それでも選手とは常に「親心」で接し、嶋、銀次らリーダーの資質を持つ選手にはあえて酷な言葉を浴びせて成長を促した。青年監督だった頃も含め、一貫して「厳しさ」を持って選手を指導してきた。

 「来季はジャイアンツに注目している。思い切りやってほしい」。闘将の金言は、V奪回が使命となる高橋監督の胸に響いたはずだ。 (山田 忠範)

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2015年12月7日のニュース