球児、優勝への決意新た “恩師”激励に熱い思いあふれた

[ 2015年12月1日 08:05 ]

藤川球児は練習中、激励に訪れた母校の先輩・中西清起元投手コーチ(左)と談笑する

 阪神・藤川球児投手(35)が30日、連日自主トレに取り組む鳴尾浜球場で高校時代の先輩で今季まで阪神投手コーチを務めた中西清起氏と3年ぶりに再会し、決意を新たにした。「志半ばでユニホームを脱いだ方々の気持ちを引き継いでいかないといけない」。05年には選手、コーチとしてリーグ優勝を勝ち取った間柄。“恩師”の思いも使命感に変え、来季11年ぶり優勝をあらためて誓った。

 高知商の先輩で「火の玉ストレート」を磨いてくれた恩師の激励訪問に藤川の熱い思いがあふれ出た。

 「ずっとタイガースでやってこられた方に激励されて、うれしいというか…。ずっと(タイガースには)歴史がある。負けていいというシーズンはなく、これまでの、たくさんの方々の思いが乗っている。自分は選手なので、監督やコーチが使いやすいように準備するのが務め。OBの方々の総意だと思う。勝たないといけない」

 ブルペンに入ってから1時間ほどたった午後2時過ぎ。ゴムチューブで下半身に負荷を与えながら投球動作を繰り返し、体幹トレーニングに励んでいたところへ中西氏が駆け寄った。握手を交わして再会を喜び、5分ほど話し込んだ。会話の詳細はともに報道陣には明かさない。大切に2人だけの胸の内に閉まった。

 中西氏が語気を強くしたのは藤川の来季を問われた時だ。「起用法とか現状について話をした。コーチをやっている時から報告は受けていたから。まあ、やってくれる。大丈夫だよ」。太鼓判を押す目に疑いの色はなかった。04年の就任から12年間に渡って投手陣を指導。特にリーグ優勝した05年にはブルペン担当として鉄壁の救援陣「JFK」の確立に貢献。藤川にとっては球界を代表するクローザーに成長させてくれた恩人の1人だ。

 12年オフに海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャー球団へ移籍。その間、かつての仲間たちとの連絡を絶つことを決めたという。「組織に属する人間と、そうでない人間の違いかなと。誰にも連絡を取らないようにしていた」。だから、中西氏とも電話で話すことは何度かあっても直に顔を合わせたのは阪神退団後初めてだった。3年ぶりの再会に「ほんま会いに来てくれて、うれしいッスよ」と目尻を下げた。

 今回は自らの阪神復帰とすれ違う形で中西氏がコーチを退任。「志半ばでユニホームを脱ぐことになられた方々の気持ちをくみ取って引き継いでいかないといけない」と決意を新たにした。思えば、24日の涙の入団会見でも「(優勝)パレードがしたい。その時は僕じゃなくて、みなさんに泣いてほしい」と虎ファンへの恩返しを誓っていた。悲願に届かなかった先輩の思いも背負い、来季を見つめた。勝たなければならない理由がまた一つ増えた。(湯澤 涼)

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2015年12月1日のニュース