松井裕、献身料4000万円 先発から涙の配置転換経て球団新33S

[ 2015年11月30日 05:33 ]

契約を更改した松井裕は来季の目標「日本一」と巨大ハンコを持つ

 楽天の松井裕樹投手(20)が29日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円増の年俸6500万円でサインした。先発から抑えに転向したプロ2年目は63試合で3勝2敗33セーブ、防御率0・87。2年連続最下位だったチームでの孤軍奮闘が最大限に評価された。梨田昌孝新監督(62)の下、現時点で役割は未定だが、侍ジャパンで抑えも経験した若武者は来季もチームのために身を削る。

 「厳冬更改」が続いていた仙台に、暖かい風が吹いた。田中(現ヤンキース)の高卒3年目の年俸7500万円には届かなかったものの、4000万円アップの6500万円でサイン。松井裕は素直に喜びを語った。

 「63試合全て大変だったし、多くを学べた。失敗もあって納得はしてないけど、自分の中で消化して来年につなげたい」

 高卒1年目は主に先発で4勝したが、今季は守護神候補のミコライオが椎間板ヘルニアで離脱するチーム事情もあり、抑えを任された。キャンプ期間の2月中旬。沖縄県内のチーム宿舎で大久保監督(当時)、球団幹部から正式に配置転換を通達された時はショックで声を失い、涙を流した。それだけ先発へのこだわりが強かった。10分以上の沈黙後、顔を上げた松井裕は「やるからには一生懸命やります」と誓った。

 そこから快進撃が始まった。球威ある直球とマウンド度胸で球団新記録の33セーブをマークし、防御率は驚異の0・87。自己犠牲の精神でチームのために腕を振った結果、大幅アップを勝ち取った。梨田新監督の下、現時点では来季のポジションは未定だが、交渉の席では安部井寛チーム統括本部長に「チームの勝ちに貢献したいので(先発、抑え)どちらでもやります」と宣言するなど、「男気」も見せた。

 侍ジャパンの最年少メンバーとして出場した国際大会「プレミア12」では、試練も味わった。19日の準決勝・韓国戦では3―1の9回無死満塁のピンチで救援したが、押し出し四球を与えて降板。チームは屈辱的な逆転負けで世界一を逃した。松井裕自身も4試合で防御率6・00。それでも「あの経験を来年に生かす」と前を向く。

 収穫もあった。大会期間中に食事に出掛け、宿舎では「映画友達」だった日本ハム・大谷の連絡先をゲット。いつでもトレーニング方法などが聞ける仲となった。来年1月には2年連続でヤンキースの田中と合同自主トレを行う予定で、このオフは世界レベルの2投手を「師匠」として飛躍につなげる。

 「仮に抑えだったら目標は?」と問われた松井裕は「40セーブです」と力強く言った。10月30日に20歳になったばかりだが、これだけは確実に言える。先発だろうと、抑えだろうと、松井裕なしで楽天投手陣は成り立たない。 (山田 忠範)

 ▼楽天・安部井寛チーム統括本部長 梨田監督も起用法を考え、早いうちに本人に伝えると思う。

 ▼楽天・青山(自己最多61試合で9000万円で契約を更改)最年少の松井(裕)があれだけ頑張ったことで投手陣もまとまれた。感謝している。

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2015年11月30日のニュース