星野氏 OB会総会で金本監督に金言「チーム内の競争がないとダメ」

[ 2015年11月29日 05:30 ]

星野・楽天球団副会長(中央)と談笑する金本監督(左)

 阪神のOB会総会と懇親会が28日、大阪市内のホテルで開催され、元監督の楽天・星野仙一球団取締役副会長(68)が出席。3球団で4度のリーグ優勝、1度の日本一を成し遂げた闘将は、自らと同じくコーチ経験がないまま指揮を執る金本知憲新監督(47)に太鼓判を押し、「チーム内の競争をあおれ」と金言を授けた。

 確信に満ちた表情で、言葉をつないだ。阪神の監督を経験しているからこそ分かることがある。金本監督について問われた星野氏は、今後の活躍に太鼓判を押した。

 「大丈夫。長くやっていろんな監督、コーチを見ている。現役のころから“いずれは監督をやる”と思って見ていたはずやから」

 2人の歩んできた道のりは、どこか重なる。星野氏は現役引退後、4年間の評論家生活を経て、コーチ経験のないまま中日監督に就任。同様に金本監督もコーチ経験がないまま、阪神監督を引き受けた。それでも、就任2年目の1988年に堂々のリーグ優勝を飾るなど、3球団計17年の監督生活でリーグ優勝4度、日本一1度と結果を残してきただけに、その言葉には説得力がある。

 「チーム内の競争がないとダメ。若い選手はその競争に勝って、今度は他球団の同年代のライバルとまた競争する。そういうのをあおってやればいいんじゃないか」

 金言を授けることも忘れなかった。星野氏の手腕として知られるのが、チーム内における激しい競争。阪神監督2年目だった2003年には日本ハムからトレードで野口を獲得し、不動の正捕手だった矢野にさらなる危機感を受け付けた。チーム内の競争だけではなく、他球団の同年代とも切磋琢磨(せっさたくま)させればいい―。競争の大切さをあらためて説いたのだった。

 「あれだけ長く試合に出ていたし、選手たちはいろんな伝説を見ている。選手からも尊敬されているだろうし、やりやすいんじゃないか」

 現役時代、数々の大記録を打ち立てた実績もまた、プラスに働くと予想した。思えば、金本監督が阪神で伝説を築き上げることができたのも、星野氏がFA交渉で獲得に成功したからだった。「思うように、好きなようにやればいい」。OB会懇親会では直接、エールを送った。強固な絆を持つ師弟関係。そのイズムは脈々と猛虎に受け継がれていく。 
  (森田 尚忠)

 ▽星野氏と金本監督 中日投手だった星野氏は82年に35歳で引退。87年に中日監督として復帰し前年まで2年連続5位だったチームを2位に押し上げ、2年目の88年に6年ぶりのリーグ優勝を果たした。01年オフに2度目の中日監督を退任し、同一リーグの阪神監督に就任。02年を4位で終えると大型補強に着手。広島からFA宣言した金本と自ら交渉した。「オレといっしょにやる運命なんや」「迷った時は一歩踏み出せ」―。悩める金本の心を言葉と熱意で揺り動かし、最後には移籍を決断させた。

続きを表示

2015年11月29日のニュース