豪快に見えて繊細な中田 肌で感じた「違い」を修正し活躍

[ 2015年11月28日 08:20 ]

プレミア12のメキシコ戦で左越え2ランを放った中田。球界屈指のヘッドスピードとコンパクトなスイングで打率・429、15打点と打ちまくった

 「プレミア12」で惜しくも世界一を逃したものの、日本中から注目を集めた侍ジャパン。日本ハム担当の私は、11月2日の集合日から21日の3位決定戦(東京ドーム)まで全て帯同して、取材した。

 今大会の「打」の主役は紛れもなく日本ハム・中田だった。11日のメキシコ戦(天母)の9回サヨナラ打に始まり、12日のドミニカ共和国戦(桃園)では勝ち越し二塁打、さらに14日の米国戦(同)でも勝ち越し3ランと予選ラウンド3戦連続決勝打を放った。全8試合で28打数12安打、打率・429で15打点。初代「打点王」に輝いた。優勝した韓国代表の金賢洙(キム・ヒョンス)が13打点で大会MVPを獲得したが、日本が優勝すれば間違いなく中田が受賞していただろう。

 14日の米国戦後、中田は気になる一言を残した。「(米国の投手は)きれいな回転の球ではないので、大振りではやられる。コンパクトに振りにいった」。豪快に見えて、繊細。打席で感じた日本との「違い」を、大会中に修正し、結果を残していた。

 面白いデータがある。7月初旬。ミズノ社の新システム「スイングトレーサー」で中田のバットスイングを解析した。そこで球界屈指のヘッドスピード151・7キロをマークしたが、注目すべきはグリップエンドからスイングの回転中心までの距離を示す「スイング回転半径」。マイナスが大きければ大きいほどスイングがコンパクトであることを示している数値が、マイナス0・17メートルを計測した。アベレージヒッターで単打を重ねるロッテ・鈴木、ソフトバンク・今宮はいずれもマイナス0・14(春季キャンプ中のデータ)。球界屈指のスラッガーでありながら、無駄な動きを極限まで省いているのだ。

 今大会は4番を大阪桐蔭の先輩でもある西武・中村剛に譲り、「楽な気持ちで打席に入れた」のも好調の要因の一つでもあるだろう。勝負どころで超コンパクトなスイングを心掛け、神がかり的に打ちまくったスラッガー。17年WBCでも打線のキーマンになりそうだ。(柳原 直之)

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2015年11月28日のニュース