“控えめ男”長野が変わる 新選手会長就任「監督を胴上げしたい」

[ 2015年11月21日 11:10 ]

フィジカルトレーニングで汗を流す長野

 20日に宮崎での秋季キャンプを打ち上げた巨人の長野久義外野手(30)が、雪辱の来季に臨む決意や高橋由伸新監督(40)への思いなど、現在の胸中をスポニチ本紙に明かした。今季リーグ4連覇を逃し、オフには野球賭博問題で揺れ、転換期を迎えた巨人。新選手会長に就任した長野も、不本意な成績に終わった今季からの巻き返しに向け自身を見つめ直す「変化」の時期を迎えている。リーグ優勝、日本一奪回のキーマンが本音で語った。 (青木 貴紀)

 長野の引き締まった表情に強い責任感がにじんでいた。巨人の第19代選手会長に就任。2年前に打診を受けた時、一度は固辞していた。「前回、原監督から“2年後は必ずやるんだぞ”と言われていました。高橋監督も相当な覚悟で監督になられた。自分も約束を守り、覚悟を決めて引き受けようと思いました」。初代から長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、松井秀喜、高橋由伸ら、巨人の歴史を彩ってきた選手たちが担ってきた重責だ。

 今季、リーグ4連覇を逃したチームは、高橋新監督の下で再出発した。長野にとって指揮官は学生時代から憧れのスター選手だった。「選手を引退されると聞いたときは寂しかったです。テレビで見ていた選手なので、まさか一緒にプレーできるとは思っていなかった。グラウンドで横を見たら高橋由伸さんがいる。一緒にプレーできて凄く幸せな時間でした」。

 高橋監督からは常勝軍団の再建に向けたキーマンの一人として、名前を挙げられた。「ありがたいことですし、やらなきゃなという気持ちです。監督自身、現役を続けたいという気持ちもあったかもしれない。そういう思いも背負ってプレーしなければいけません」。言葉に一段と熱がこもる。

 新選手会長のかじ取りは、逆風の中から始まる。野球賭博に関与していた3選手が解雇となり、ファンから厳しい目が向けられている。「チームメートの中から出てしまったことは残念ですし、応援してくれているファンの方を悲しませてしまいました。二度と起きないように重く受け止めています」と襟を正す。

 今季はオフの右肘、右膝の手術から開幕に間に合わせたが、130試合出場で打率・251、15本塁打、52打点に終わった。「もう少しできると思っていたし、自分の体じゃないような感覚もありました。手術は言い訳にならないです」。盗塁数はプロ6年間で最少の3だった。「思ったよりも走れなかった。下半身のトレーニングはやっていましたが、足りなかった」と唇をかむ。

 20日に打ち上げた秋季キャンプでは若手に交じり、精力的に汗を流した。恒例となった年明けのグアム自主トレは、今回は阿部が別メニューとなり、将来の4番候補・岡本の面倒も見る。「(岡本は)打つことに関してはレベルが違いますよね。守備もうまくなっていて、本当に楽しみ。負けないように頑張らなきゃいけない」。引っ張ってもらっていた側から、若手をけん引する立場へ。その自覚は十分だ。

 高橋監督を男にするため、来季は自らにも高いノルマを課して臨む。「今季は凄く悔しい思いをしたので、来季は高橋新監督を胴上げしたい。もう少し走って、足でも貢献したいですね。全試合出場できるように頑張ります」。普段は控えめな男の強い口調に、並々ならぬ決意が感じられた。

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