小久保監督 大谷を日本の新エースに指名 17年WBCへ模範となれ

[ 2015年11月21日 06:30 ]

話し込む小久保監督(左)と大谷

  侍ジャパンの大谷翔平投手(21)が20日、準決勝敗退から一夜明け、東京ドームでの自主練習に参加した。練習中には小久保裕紀監督(44)から日本代表を背負って立つ来季以降への激励の言葉を贈られた。今大会は2試合で13イニングを無失点。17年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では絶対的エースになることが求められる。チームは21日、メキシコとの3位決定戦(東京ドーム)に臨む。

 韓国相手の7回1安打無失点、11奪三振という快投は、不運とはいえ勝利に結びつかなかった。悪夢の逆転負けから一夜明けた東京ドーム。午前に割り当てられた練習で、外野でフリー打撃の球拾いをする大谷に小久保監督が歩み寄った。約5分間、諭すように語りかけられた大谷は大きくうなずき、笑みを見せた。

 「(日本ハムでのクライマックスシリーズに続き)最後も僕の先発した試合で負けて終わるという形。終わり方としては凄く悔しい。でも、そのおかげでオフもしっかり取り組めたりする。プラスに捉えていきたい」

 パ・リーグ投手3冠のタイトルを引っ提げて臨んだ今大会。指揮官から「エース」に指名されたのは国際大会経験豊富な前田健だった。「投手全員を引っ張っていた。(将来、自分も)そうなれればいい」。前田健は今オフにポスティング・システムで大リーグに渡る可能性があり、17年に控えるWBCなど、今後の国際試合出場が不透明。大谷は先輩に引っ張られる立ち位置から、来年以降は絶対的エースに君臨しなければならない。

 小久保監督は「今年1年のねぎらいと来年(以降)に向けての話をした。(大谷は)このオフの取り組み方で、来年どういう働きをするかを野球界で示せる選手」と言った。常設された侍ジャパンでは、今後も主に3月と11月に国際試合が組み込まれる。プロ野球のシーズンの前にも後にも、ベストパフォーマンスが要求されるのが日本代表選手。才能あふれる21歳右腕に、「侍」のあるべき姿の模範になるという任務が託された。

 自主練習では外野フェンス際を黙々と走った。世界一奪還へ、歩みを止めてはいけない。自覚の表れだった。3位決定戦はベンチで見守る。「ある意味、メンタル的に決勝より重要だと思う。世界一を目指してきただけに、(試合の)入り方が難しい。本当の姿勢が出てしまう。そこで勝ちきれるかが凄く大事」。今大会での世界一の夢はついえたが、代表の誇りまでは失っていなかった。 (柳原 直之)

 ☆大谷とプレミア12 予選ラウンドの韓国との開幕戦(札幌ドーム)は6回を91球、打者21人を2安打10奪三振で無失点。5回無死一、二塁のピンチには3者連続三振の快投を見せ、今季最速タイの161キロを計測した。準決勝(東京ドーム)でも韓国相手に登板し、6回までノーヒット。7回に先頭・?根宇(チョングンウ)に中前打を許したが、この回まで無失点で投げきった。打者22人から11三振を奪い、1安打1死球、85球での降板だった。

続きを表示

この記事のフォト

2015年11月21日のニュース