【侍ジャパンの誤算1】首脳陣と選手に意思統一なかった守備位置

[ 2015年11月21日 07:30 ]

準決勝・韓国戦の9回無死一、二塁でチョン・グンウの打球に跳びつくも捕球できなかった松田

 初開催の国際大会「プレミア12」で日本代表初代王者の目標を果たせなかった。侍ジャパンが13年に常設化されて以降、初の真剣勝負の舞台で、予選ラウンドを全勝突破しながら準決勝で敗れた要因はどこにあるのか。今後に向けて何をすべきなのか。3回にわたって検証する。

 小久保監督自ら「全て私の責任」と話した準決勝・韓国戦での継投失敗。これまで強化試合、親善試合では投手に関して、登板日も順番も決まっていた。「継投をやるのも私にとって初めて。鹿取投手コーチと話し合いながらやっている」と話した不安が、一気に露呈してしまった。

 逆転を許した9回は継投ミスがクローズアップされるが、守備位置の意思統一もされていなかった。3点リードの無死一、二塁。同点の走者を得点圏に送らない策=長打警戒が必要だったが、迎えたチョン・グンウに対し、三塁手の松田は三塁線を詰めずに左翼線二塁打された。一塁手の中田は一塁線を埋めていた。チグハグな印象はぬぐえない。

 仁志内野守備走塁コーチは「三塁線を締めることは頭をよぎったけど、併殺が欲しかった」と説明した。だが、その意思はナインに明確な形で伝達されていなかった。ある選手は「内野陣、バッテリーも含めた意思統一という点で選手も反省しないといけない。もっと選手からどうすべきか、確認の声を上げるべきだったかもしれない」と語った。

 局面の判断に選択肢を持ち、決断するには経験を要する。コーチ陣も鹿取投手コーチ、奈良原ヘッドコーチ以外は、コーチ経験は乏しい。年間でも10試合に満たない代表での試合で、専任の監督、コーチを置くことはできない事情はあるが、評論家の中にも多くの指導経験を持つOBはいる。今回のコーチ陣が全て大目標である17年の第4回WBCにそろうことも考えにくい。代表招集のたびに違ったコーチが入るようでは、小久保監督の野球観を共有し、サポートする態勢を整えることは難しい。今から1年半後のWBCを見据えた態勢づくりは不可欠だ。

 敗戦の責任を一身に背負った監督とコーチの経験不足で全てを片付けてはならない。采配、起用法の選択肢を狭めた要因には、12球団の姿勢、温度差もある。 (特別取材版)

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