右投げ左打ち全盛も…楽天の“韋駄天”福田 あえて右打ちのワケ

[ 2015年11月21日 10:10 ]

右打ちの楽天・福田

 近年、プロ野球界では右投げ左打ちの外野手が急増しているという話を耳にする。今秋のドラフト会議では「ヨシノブ2世」として注目度が高かった慶大・谷田成吾外野手が予想に反して指名漏れとなった。

 担当する楽天でも外野手(育成選手を除く)は今季11人中、5人が右投げ左打ち。両打ちの松井稼も含めると、過半数を上回る。左打ちの最大のメリットは、右打者よりも一塁ベースに近く安打になる確率が高くなる。特に俊足の選手は足を生かすため、左打ちに転向するケースが多い。だからこそ、疑問に思った。楽天の福田将儀外野手(23)だ。100メートルを10秒83で走る俊足の打者だが、右投げ右打ち。なぜ、左打ちにしなかったのか聞いてみた。

 「僕らの世代ぐらいから、左打ちがめっちゃ増えたじゃないですか。右打ちは重宝されるんじゃないかと思って」

 20代前半の選手たちにとって、野球を始めた頃のスターはイチロー(マーリンズ)や松井秀喜(元ヤンキース)といった右投げ左打ちの外野手。野球少年たちはこぞって打ち方を真似した。

 ただ、福田は「(野球経験者の)父親が右打ちだったので、右打ちにさせたかったんだと思う」と話す。右投げ左打ちの外野手が増えている現状で、貴重な右打ちとなり「結果、良かったかもしれないですね」と笑った。

 一方、右投げ左打ちの聖沢諒外野手(30)にも左打ちの理由を聞いてみた。12年に盗塁王(54盗塁)に輝くなど、俊足の持ち主。てっきり足を生かすため、左打ちに転向したのかと思いきや、実は「右打ちをしたことがない」という。「小学2年で野球を始めた頃からずっと左打ちだった」。“つくられた左打者”ではないそうだ。

 右投げ左打ちのデメリットを尋ねると「投げるのも打つのも体の使い方は一緒。右投げ左打ちだと動きが別々なので、体を上手く使えずブレーキがかかるのかもしれない」と答えた。打撃の調子が悪くなると左投げでキャッチボールをし、ヒントを掴むという。

 楽天は来季、ドラフト1位指名した右投げ右打ちのオコエ瑠偉外野手(18)が加入する。彼もまた50メートルを5秒96で走る俊足打者。福田、聖沢、オコエともにポジションは中堅。結局のところ、右打ちでも左打ちでも結果を残したものが生き残る世界。誰が、その座を奪うのか注目したい。(徳原 麗奈)

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2015年11月21日のニュース